新しい防災の形、フェーズフリーの目的と取り組みを紹介します

防災

備蓄が必要といっても、なかなか家庭備蓄という考え方は、広まっておりません。

もしもの時、万が一の時、のためだけに、と考えると、余分なお金を使うことになります。

そして、何をそろえるべきか時間がかかったり、買いそろえるための労力がいるなど、できない理由が多く上がり、ついつい後回しになってしまいます。

そこで、日常用でも防災用でも使える、役に立つモノが、本当に大切なモノという考え方に行き着きます。

今では「フェーズフリー」という、言葉でその普及は行われていますが、この言葉や取り組みが起こった理由や、その経緯をご紹介していきましょう。

フェーズフリーとは

プリウスPHVは、電気自動車(EV)と、従来のハイブリッドカー(HV)の長所を併せ持った車です。

普段は、電気モーターとガソリンエンジン、2つの動力源を持ち、自宅コンセントからの充電でも、EV走行が可能で、長距離時は燃費の良いHVとして利用できます。

一方非常時には、搭載している大容量リチウムイオンバッテリー、また、エンジンを作動させての発電機として、AC100V・1500Wまで給電できます。

また、社内2カ所のコンセント、ワンタッチで装着可能な防水コネクターで、野外でも家電の利用が可能になります。

このプリウスPHVは、「フェーズフリー」な商品・サービスの1つですが、「フェーズフリー」とは、身の回りにあるモノやサービスを、日常時はもちろん、非常時にも役立てることができるという考え方です。

一般的に、防災用品のほとんどは、普段はしまっていて、非常時のみに取り出して使うものです。

しかし、フェーズフリー品は日常時のいつもの生活で、便利に活用できるのはもちろん、非常時のもしもの際にも役立つ、商品・サービス・アイデアです。

フェーズフリー誕生の背景

日本は、世界でも有数の災害大国です。

様々な活動を通して、私たちの防災意識は高まっていますが、それでも、災害は毎年発生し、被害もいたるところで起こります。

被災している方々のニュースや、なかなか減らない被害を見て、

「何をどのくらい備えればいいのか?」
「防災って難しい、、、」

という声も多くあります。

この「フェーズフリー」は、「大切な人を、絶対に守りたい」という思いを形にするために誕生しました。

「フェーズフリー」という考え方は、2014年、防災の専門家として活動を続けてきた、佐藤唯行氏が提唱したことが始まりです。

地震工学会、地域安全学会、日本デザイン学会など、アカデミックな活動からスタートし、2015年には、フェーズフリー総合研究会が、任意団体として設立されました。

それから、総研メンバーにより講演活動などにより、この考え方は徐々に浸透していきました。

その後、2016年には、フェーズフリー建築協会がNPO法人格を取得、その後、現在のように、行政から民間・企業まで、幅広く取り組みは拡大するに至りました。

様々な分野の様々な人が参加していく中で、フェーズフリーを、正しく世の中に普及させていくために、フェーズフリー協会の発足が求められ、2018年12月に、一般社団法人フェーズフリー協会が発足しました。

フェーズフリー協会の取組み

どのような形で、フェーズフリーに参加していくか、3つのアクションを紹介します。

フェーズフリー認証

フェーズフリーの、5つの原則に基づいた震災基準に従い、フェーズフリー協会の基準、認証員会で審査を行います。

その5つの基準とは、

・常活性
・日常性
・直感性
・触発性
・普及性

です。

この審査によって、認証を受けた商品やサービスには「PF認証マーク」の使用が認められ、商品本体、パッケージやタグ、パンフレット、チラシなどの、販促媒体への表示など、幅広く活用できるようになります。

フェーズフリーアクションパートナー

フェーズフリーの価値観を理解し、これに賛同する企業、団体、個人などが利用できる制度です。

フェーズフリーを合言葉に、繰り返させる災害への解決策を、一緒に探す仲間を募集しています。

フェーズフリー協会会員

フェーズフリー協会の会員構成は、4つの種類からなり、自治体などによらず、誰でも加入できます。

正会員、賛助会員、特別会員、協力会員、それぞれ会員の種別により、以下のような様々な特典があります。

・機関誌の頒布
・出版物の割引頒布
・機関誌への投稿
・シンポジウム、講演会への割引参加
・機関誌、WEBサイトへの名簿掲載

等です。

まとめ

多くの防災訓練、防災グッズ、防災のための勉強を受けても、もしもの時だけしか使わないと、いろいろなものが無駄になってしまいます。

防災意識を高める、そのきっかけとして、この「フェーズフリー」という考え方は、ぜひ私たちの生活の一部になってくれることを期待していきたいものです。

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