「免責金額」という言葉を、普段の生活を送るうえで聞くことがあるでしょうか。
自然災害が年々増えている日本において、火災保険の重要性はますます高まっています。
火災保険の内容を決める際に、「免責金額」という項目は、とても重要なポイントになってきます。
いざという時に、経済的な負担を減らすための保険ですが、そのいざという時に、きちんと補償できる内容になっているのかどうか、「免責金額」という視点から、確認していきましょう。
火災保険の免責事由
火災保険に限らず、保険には「免責」というものがあります。
これは、保険金を支払ってもらえない場合のことを言います。
火災保険で言うと、建物や家財に損害が発生しても、保険金は1円も受け取ることができません。
この免責になる事由として、代表的なものを紹介します。
・契約者・被保険者の故意もしくは、故意とみなされるような重大な過失によって生じた損害
・契約者・被保険者の法令違反の行為が原因で生じた損害
・戦争や・核燃料物質により発生した損害
・建物や家財の経年劣化により生じた損害
この中でも特に要注意なのが、「建物や家財の経年劣化により生じた損害」です。
なぜなら、経年劣化と自然災害が重なるケースが極めて多いからです。
屋根がもともと経年劣化していたところに、台風の暴風に襲われて破損し、雨漏りが起きた損害などは、よく調査対象となるケースが多いようです。
基本的に、損害を引き起こした直接の原因が自然災害であれば、火災保険の補償対象となります。
しかし、直接の原因が自然災害であることを証明することは、意外に難しく、自然災害が発生した日時・原因が、はっきりとわかるケース以外は、気象庁の過去の気象データなどで、可能な限り特定する必要があります。
火災保険の免責金額
免責とは、保険会社が保険金を支払わない場合のことを言います。
免責事由に該当すれば、その分は自己負担をする必要があります。
そう考えると、免責金額とは自己負担金額といえます。
この免責金額の設定についてですが、実は、2つの方式があります。
フランチャイズ方式と免責方式です。
フランチャイズは後述しますが、少し前の火災保険では標準的についていました。
最近の火災保険では、免責方式が一般的となっています。
これは、一定の自己負担額を決めて、損害額からその自己負担額を除いた金額を、保険金として支払うという方式です。
例えば、免責金額3万円を選択し、火災や風災による損害が20万円発生した場合、実際の保険金支払額は、20万円-3万円=17万円になります。
この免責金額については、損害保険会社各社で異なり、全ての補償を一括で免責設定しまう場合もあれば、補償ごとに免責設定をしていく場合もあります。
免責金額も、0円から3千円、5千円、1万円、5万円、20万円など、パターンもいくつかあります。
「風災・ひょう災・雪災」だけ、免責金額を別に設定できる会社もありますし、免責金額を0円にしていて、「破損・汚損」だけは、自己負担金額が発生するという会社もあります。
免責とフランチャイズ
フランチャイズ方式について、少し解説しておきましょう。
フランチャイズ方式は、一昔前の火災保険の風災補償に、20万円の免責金額で標準的についているケースがほとんどでした。
フランチャイズ方式は、一定の金額までは全額自己負担で、一定の金額を超えたら全額保険金が支払われるというものです。
フランチャイズ方式にて、20万円の免責金額を設定していると、損害額が20万円未満は、1円も支払われません。
しかしながら、損害額が20万円以上になると、全額支払われることになります。
一般的な免責方式と、損害保険金の支払われ方が少し異なるため、その特徴を分けて覚えておくことが大切です。
免責金額の設定で気を付けること
免責金額を設定すると、建物や家財に損害があった際、自己負担をしなければいけませんが、逆に、保険料が安くなるということは、免責金額を設定するメリットといえます。
しかし、保険料は安くなっても、いざ損害が発生した際に、自己負担が増えて生活の再建が困難になるようであれば、本末転倒です。
そこで、免責金額を設定する際に、気を付けておくポイントを紹介します。
1つは、自己負担をどれだけできるかを考えることです。
一般的に、貯金がある程度あって、損害が起こっても5万円から10万円くらいであれば、自己負担してもいいようでしたら、免責金額を高く設定して、保険料を抑えることを考えましょう。
その際の注意点は、保険期間が5年から10年と長期に設定している場合、今は収入と貯蓄に余裕があっても、後に子供の教育費の負担が一気に増えたりと、経済的余裕がなくなる可能性も考えられます。
また、貯蓄もほとんどなく、損害が発生した際の出費が、少しでもあれば困るようであれば、免責を高くても5万円ほどに抑えるべきでしょう。
もう1つのポイントは、補償の内容ごとに免責を設定できる保険会社を選ぶことです。
火災保険は、火災の場合の補償だけではありません。
落雷、風災、水災、ひょう災、雪災、盗難、破損・汚損などと、多岐にわたって補償されています。
特に、水災については、その補償内容について間違いやすい場合があります。
例えば、台風の暴風などでの雨漏りなどは、水災ではなく風災となります。
水災とは、床上浸水など、水害が原因で建物や家財に、損害が発生する場合で、高台にある家やマンションの高層部に住んでいる方には、あまり関係がない場合がほとんどです。
このように、建物がある立地や環境を確認し、どの補償内容による損害が起きやすいか、置きにくいかを確認して、免責金額を決めていくといいでしょう。
まとめ
火災保険の内容を決める際に、免責金額がどのような設定になっているのか、きちんと確認しておいたほうがいいでしょう。
いざ建物や家財に損害があった際、高い免責金額の設定により、保険がつけないということがあれば、保険に加入する意味が薄れてしまいます。
自然災害が増えている近年、自分の財産を守るためにも、火災保険の加入の仕方については、この機会に確認をしてみることをお勧めします。
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