万が一災害が起きた際、命を守る行動をとるために、私たち一人一人が、自ら考え、行動することは、これからの防災を考えるにあたっては、とても大切なことです。
その際、何を見て行動の判断とするのか、国は、いろいろな方法で私たちに情報を与えてくれています。
その中の一つに、Lアラート(災害情報共有システム)があります。
2019年から運用をはじめ、今ではすべての都道府県で、導入されています。
災害時の連絡がどのような形で、私たちに届くのか知ることも、防災意識の向上につながるでしょう。
Lアラートとは?
Lアラートとは、災害が発生した際、地方公共団体やライフラインや事業者等が、放送局、アプリ事業者など、様々なメディアを通して、地域住民に対して必要な情報を、迅速かつ効率的に伝達するための、共通の基盤のことを言います。
平成23年6月に運用を開始して以降、着実に情報発信者や情報伝達者、そして扱う情報を増やしていき、平成31年4月に、全都道府県における運用が実現しました。
総務省では、Lアラートのさらなる利用活用のため、地図による災害情報の提供など、より高度な災害情報の提供システムの普及促進を目指しています。
Lアラートができた背景
そもそもこのLアラートが開発された発端は、平成19年の新潟県中越沖地震の際の、災害関連情報の収集や入力、確認に悪戦苦闘したNHKの経験だと言われています。
当時、地方公共団体から発信される災害情報は、ほぼ電話、FAX、記者発表などの、アナログ情報であり、収集、入力、確認に手間と時間がかかり、それらを、放送によって地域住民へ提供するためのスピード、正確さ、きめ細やかさに改善の余地がありました。
それを受けて、平成20年に総務省は、地方公共団体などの災害関連情報は、共通基盤への入力のみで、メディア等を通じて国民へ伝達されることを、可能にすべきであるとの見解を示しました。
その後、マルチメディア振興センターでの、実用化試験などを経て、平成23年6月13日に「公共情報コモンズ」としてサービス運用を開始しました。
平成26年に総務省の発表により、名称を「Lアラート」に変更し、平成31年4月には全都道府県による、運用が実現しました。
情報発信者のメリット
災害情報を発信する人を、情報発信者と呼びますが、この情報発信者のメリットとして、Lアラートへの一回の入力作業で、様々なメディアに配信できるというものがあります。
このことで、迅速かつ確実に、地域住民へ災害情報を伝達することが可能になります。
Lアラートができた背景において、収集した情報の入力の手間や確認に、時間がかかるという課題がありました。
その課題も見事に解消され、入力作業の負荷の軽減、そのことで情報伝達のスピーディーさも、可能にすることができました。
情報伝達者のメリット
また、様々なメディアを使って情報を発信する、情報伝達者にとってもメリットがあります。
Lアラートと放送システムなどを連携させることによりデータ入力の手間を省き、情報をより正確、迅速に伝達することができます。
コミュニティFM事業者や、地域CATV事業者にとっても、より広域、かつ詳細な災害情報が入手でき、一層効率的、効果的に、地域の実情に合った情報提供が可能です。
そして、全国の公共情報が、標準化された手順により、最適なデータフォーマットで入手可能となり、情報取得のためのコストや、工数の大幅削減が期待できます。
地域住民のメリット
最後に、私たち地域住民にとってのメリットですが、緊急事態が発生した際に、身近なメディアを通じて、迅速に正確な情報取得が可能になります。
テレビ、ラジオ、携帯電話、インターネットなど、多様なメディアを通して、障害者、高齢者を問わず、誰もが、いつどこでも、地域の安心や安全に関わる情報を、迅速に入手することができます。
Lアラートの課題
Lアラートの運用は、すでに全国各地で行われていますが、さらなる普及や発展には課題がありますので、最後に紹介しておきましょう。
まずは、発信する情報を、これまでよりも多様化する必要があります。
自治体からの災害関連情報をより多く発信したり、電力、水道、河川情報、交通情報などの、情報発信も多いほうがいいでしょう。
ライフラインの状況や、地域住民に近い情報を発信することで、より被災者の支援もしやすくなるでしょう。
多くの情報を発信できるようになると、その情報を利用するメディアやツールも多様化、高度化していく必要があります。
ほとんどの国民が使っているスマホでのアプリの開発、カーナビや、デジタルサイネージでの利用促進、メディアだけでなく、企業や公的機関などにも利用を拡大していき、災害関連情報の視覚的把握も可能にしていくべきでしょう。
最後に、このLアラートのシステムの、機能向上や、入力訓練や誤入力補正の連携体制を整備していきます。そして、Lアラートの運営費用を、利用者が負担していく方向に転換してくことも、課題として挙げられているようです。
まとめ
いかがでしたでしょうか。災害に時に見ることができる多くの情報が、どのような形で私たちに届くのか、知らなかった人も多いでしょう。
今後はますます多くの情報を私たちは、入手することができます。
これらの情報をどう生かすか、私たち一人一人の行動を、命を守る行動に活かすことができるように、防災意識を高めていきたいものです。
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