現在、新型コロナウイルス感染症の影響で、外国人観光客こそ少ないものの、日本に居住、滞在する外国人は毎年増加している。
同時に、地震や台風、洪水など、様々な災害に遭遇する外国人も、増加しています。
自然災害の多い日本では、外国人住民、観光滞在者を含めた防災対策を考える必要があります。
その目的は何か、具体的にどのような対策を行っているのか、解説していきましょう。
外国人への災害支援の現状
過去の大きな災害時では、日本人だけでなく、外国人も大きな影響を受けました。
海外からの旅行者も増加傾向であった頃は、どうしてよいかわからずに、困惑する旅行者の様子が、様々なメディアで取り上げられました。
当時の外国人旅行者へのアンケートとして、多くの方が以下のような返答をしています。
・停電でスマートフォンなどの充電が困難
・停電で情報が得られなかった
このことからわかるように、災害時の情報収集が困難だったことがわかります。
来年には、東京オリンピックも控えている中、このような外国人への災害時への対策として、政府もいろいろな対策を考えています。
それらの目的を解説していきます。
外国人への災害支援の目的
外国人への災害支援の目的は、大きく2つあるとされています。
1つは、観光客や短期滞在者も含めて、来意にチスル外国人へ向けての、「日本の広報活動」です。
来年開催予定の東京オリンピックは、その代表的なものですが、今後予定される様々な国際イベントに向けて、「おもてなし」の体制を整えつつも、更に災害、防災に関する情報提供や対策を十分に行うことは、「安心、安全な日本」のPRにもつなげることができます。
それは、イベント開催国としての責任でもあります。
その責任をきちんと果たせる、成熟した国であることを広く周知するため、外国人を交えた防災システムをとの得る必要があります。
もう1つの目的は、日本人、外国人を問わず、その地域、その場所に居合わせた、すべての人が協力し合って、できるだけ災害の被害を小さくするためです。
防災の3原則である、「自助」「公助」「共助」にもあるように、
お互いが助け合うことで、被害を最小限にとどめる力が生まれることがあります。
外国人を交えた防災は、外国人をお客様として助けるためでなく、その場にいる人々が最大限協力し、お互いに災害を乗り切っていくために、必要なものです。
外国人への災害支援の具体例
外国人への災害支援の取組は、今では多くの自治体が取り組んでいます。
冒頭お伝えしたように、外国人が、災害時に最も困ったことが、「情報をどう収集するのか」でもあったように、災害時の情報をどう伝達するかが、特に課題とされています。
ここでは、その課題を解決すべく役立つ取り組みを紹介していきます。
多言語化ツール
まず、情報伝達の上で問題となるのが、言葉の壁でしょう。
災害時の多言語化について、一般社団法人自治体国際化協会(クレア)から、便利なツールや必要な情報が提供されています。
例えば、避難所開設後すぐに必要になるとされている文例を、多言語で表示した、
「多言語表示シート」は、WEB上で必要事項を入力して、印刷すればいいようになっていますし、その他ツールを活用するための動画も、準備されています。
また、翻訳版を作成できない言語圏の人への配慮として、「やさしい日本語」を使用することを、地域防災計画の中に加えている地域もあります。
例えば、
「避難」は「逃げる」
「余震」は「後で 来る 地震」
というように、簡単な言葉に置き換えます。
あらかじめ、このようなツールやガイドラインを利用して、備えておくといいでしょう。
コーディネーターの配置
災害情報の多言語化が進む一方、災害時の外国人の支援や、ニーズの伝達などが迅速にできる体制の準備と、それをコーディネートできる、人材の必要性が指摘されています。
総務省は、2017年5月から、「災害時外国人支援情報コーディネーター制度に関する検討会」を設置し、コーディネーターの役割や、養成するための仕組みの構築について検討し、報告書を取りまとめています。
このコーディネーターは、避難所などの寄せられる情報を整理し、外国人被災者からのニーズを把握し、自治体職員へ伝達する役割を担います。
熊本地震における外国人支援の仕組が、参考として紹介されているように、このコーディネーターの配備を、全都道府県に行うことで、よりスムーズな外国人の災害支援が可能になります。
スマートフォンの活用
2019年2月から、近畿地方において、外国人への災害方法提供プラットフォームの実証がスタートしています。
悪意ある情報や風評などを抑えて、信頼できる情報が伝わる仕組みを、構築しよう言うものです。
これにより、外国人が地震や津波、台風、豪雨などの、災害に遭遇した際、的確な情報を正確、迅速に、得ることができるようになります。
まとめ
ご紹介したように、外国人への災害支援の体制は政府としても様々な取り組みを進め、各自治体でも実際に行われています。
しかしながら、最も重要なのは平時からの備えです。
災害罪の対応を事前にシュミレーションするなど、平時からの防災訓練に、外国人住民にも参加してもらったり、地域内の日本人住民と、外国人住民が日本語教室を通じて、交流するなどの関係構築も、災害時に備えて有効になるでしょう。
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