もしもの時に役立つ罹災証明書!申請方法から内容まで一挙紹介!

防災

地震被害や台風、津波と、最近多くなる自然災害ですが、このような災害等で被害を受けた私たちがすべきこと。

それは、罹災証明書の取得です。

これにより、民間はもとより、公的な援助を受けることが可能となります。

いざ、万が一のことが起きないとこのような証明書の存在すら知りませんが、いつ起こるかわからない災害に備えて、是非とも一度は確認して欲しい内容です。

罹災証明書とは

罹災証明書とは、何を証明するためのものでしょうか?

罹災証明書とは、地震や台風、津波等の天災、もしくは火災などの災害によって住民が被害を受けた際、被害の程度に応じて自治体がその被害を認定してくれる証明書のことです。

地震や大雨などの自然災害の場合、罹災証明書は、市町村役場などの自治体から、火災被害の場合には、消防署が発行します。

証明する被害の程度

「全壊」
住居全体が損壊、焼失、流出した場合で、住居を補修しても二度と住めない場合
住居が損壊、焼失、流出などによって損害を受けた部分が50%以上の場合

「大規模半壊」
住居の一部が損壊、焼失、流出したが、修理をすれば元どおりに住むことができる場合
損壊、焼失、流出などした割合が半壊より高く、修理費用が高くなるものまたは、住居が損壊、焼失、流出などで損害を受けた部分が40%以上50%未満の場合

「半壊」
住居の一部が損壊、焼失、流出などしたが、修理をしたが元どおりに住むことができる場合
住居が損壊、焼失、流出などによって損害を受けた部分が20%以上40%未満の場合

「一部損壊」
住居の一部が損害を受けたが、損害内容が軽微で、半壊に至らない程度で、補修すべき場合
住居が損壊、焼失、流出などによって損害を受けた部分が、20%未満の場合

被害の程度による支援内容

先程お伝えしましたように、建物の被害状況により、受けられる支援の内容は変わってきます。

例えば、ある自治体では、被災証明書に記載された被害の程度が、全壊の場合は100万円の支援が受けられますが、大規模半壊では50万円と、その差、半分にもなってしまいます。

このように、罹災証明書の被害の程度は、災害にあったあとの支援内容に大きな影響を及ぼしますので、知っておいたほうがいいでしょう。

罹災証明書の発行について

罹災証明書がどのような場合に発行されるのかを解説します。

実は、2パターンの申請があり、何が原因で被害にあったかで、申請方法が異なります。

火災被害にあった場合、申請先は消防署になります。

しかし、地震や台風、津波など、自然災害による被害にあった際は、市町村などの自治体になります。

罹災証明書の申請をすると、まず専門の調査員が住居の場所を訪れて、現地調査をした上で、住居の程度を認定することになります。

被害の程度が認定されたら罹災証明書が発行されます。

罹災証明書と罹災届出証明書

罹災証明書の発行を申請してから、実際に証明書が発行されるまで、各自治体や被害の状況によっても異なりますが、少なくとも、1週間以上の期間がかかります。

大規模な地震で、大災害が起こった際、罹災証明書の発行依頼が殺到しますので、その場合は、発行までの期間が大幅に伸びるケースがあります。

このように、罹災証明書はすぐには発行されません。もしその証明書がすぐに必要な場合、罹災届出証明書というものがあります。

これは、罹災証明書を申請しましたということを証明するもので、申請すれば即日発行されるものです。

これを活用すれば、各支援がすぐに受けられる可能性が高くなります。

ちなみに、この証明書は無料で発行されます。

被災証明書について

罹災証明書と似たものに、被災証明書というものがあります。

これは、家屋以外の家財、店舗、工場などが、「被害を受けたかどうか」を証明するものです。

この証明書は即日発行されます。

しかし、各自治体によって判断基準が異なったり、そもそも被災証明書が存在しない自治体もあるようですので、住んでいる自治体に問い合わせる必要があります。

罹災証明書の申請から認定まで

罹災証明書の申請をする場合、まずは、申請用紙を入手します。

申請用紙は、申請先の消防署や自治体でもらうか、ネット上でダウンロードできます。

記入の内容は、各市町村によって多少異なりますが、ほとんどの内容は同じになっています。

もし、本人ではなく、代理人に罹災証明書の申請を依頼する場合は、委任状の提出が必要ですし、代理人と本人の関係を説明する必要があります。

また、申請をする場合には、本人確認書類として、運転免許証などが必要です。

自治体によっては、罹災した住居の現況写真の提出が必要な場合もあります。

罹災証明書の発行申請

罹災証明書を記入し、申請をしたあとの流れを解説します。

原則として、本人が身分証明書を提出して、申請しますが、どうしても本人ができない場合は、代理人が申請することも可能となっています。

代理人になれるのは、罹災した人と世帯が同じ人、罹災した法人の社員、罹災者から委託を受けた人、その人の親族や法定代理人です。

現況調査

罹災証明書の発行を申請すると、被害の程度を認定するため、専門の調査員が現地を訪れて現況調査を行います。

現況調査を行う調査員は、自治体によって認定を受けた建築士となっています。

その方法は、国が定めているため、各自治体ごとの違いはありません。

「地震の場合」

地震被害の現況調査は、第1次調査と第2次調査があります。

第1次調査では、調査員が被害住居のある場所へ行き、外観を確認する調査を行います。

その後、住居の傾き具合を測量し、屋根や壁、柱などの住居の構成要素の状態を確認していきます。

第2調査では、罹災した人から申請があった場合に行われます。

この場合は、申請者が立ち会った状態で、外見調査を行いますが、住居の中に入って状態を確認する調査も行います。

「水害の場合」

水害被害の現況調査は、地震の際と同様で、外観から見た調査、傾き、屋根や壁、柱の確認を行い、それに加えて、どこまで浸水したかの判定も行っていきます。

「風害の場合」

風害の場合も、地震、水害の場合と同様です。

風害の場合は、これらに加えて、住居の外装による判定が行われます。

外装部分に大きな損傷がなく、住居の中へ浸水する被害が発生する恐れがない場合は、半壊の被害の程度に至らないとされているようです。

申請の期限

罹災証明書の申請には、期限が設けられることがあります。

これは、各自治体で異なるようですが、たとえば、罹災してから原則14日以内や1ヶ月以内と、短めの設定が多いようです。

罹災証明書を申請する場合は、いつまでに申請しなければいけないかを各自治体に確認した上で、できるだけ早めに手続きをする必要があるようです。

罹災証明書で受けられる支援

最後に、罹災証明書を自治体に発行してもらい、具体的にどのような支援を受けられるのか、解説していきます。

公的支援

「税金、国民健康保険料の減免」

罹災した住居の家屋の固定資産税、国民健康保険料の支払いが一定期間減額されたり、免除されたりします。

「被災者生活再建支援金の受給」

罹災証明書に記載された被害の程度により、支援金を受給できます。

「住宅応急修理制度の利用」

住居が全壊したり、半壊の場合に、住居の修理費用を国と自治体が一部負担してくれます。

罹災証明書があると、被害を受けた住居が修復されて再び住むことができるようになるまで、優先的に、仮設住宅や公営住宅に入ることが可能となります。

「災害援護資金の利用」

自治体から無利息または年利3%で借り入れができます。貸付けの限度額は350万円で、利用のためには所得制限があります。

民間支援

「民間金融機関からの借入」

銀行などの民間の金融機関から無利息や低金利で融資が受けられることがあります。

「私立学校の授業料免除」

罹災した家族に、私立学校に通う子供がいる場合、その学校の授業料が免除される可能性があります。

「保険金の支給」

保険に加入している場合、災害保険金を受け取ることができます。

他にも、自治体によっては様々な支援制度があるようですので、自治体に問い合わせたり、ホームページで確認することをお勧めします。

まとめ

罹災証明書について、申請の方法から、支援の内容までを一挙に解説しました。

最終的には、申請をする各自治体に問い合わせることが必要となりますが、万が一被災した際の復旧のための知識として、是非とも覚えておきましょう。

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