災害時の情報収集がより身近に?DiMAPSの多彩な機能をフル活用しよう!

防災

被害状況が一目でわかる、統合災害情報システムが注目されています。

通称DiMAPSの運用は、2015年9月1日に開始。

鬼怒川や渋井川の決壊を引き起こした、同年の関東・東北豪雨の際にも、DiMAPSで集約した情報が、一般公開されました。

これまでにない、新しい防災・減災のシステムとして、国や自治体だけでなく、私たち個人としてもまずはこのシステムの存在を知ることから、そして、災害時に活用するために、詳細を解説していきたい。

統合災害情報システムとは

地震、津波、風水害、噴火などの災害時に、国土交通省が集めた情報を、地図上に集約して表示するシステム運用が、2015年9月1日からスタートしました。

その名も、「統合災害情報システムDiMAPS」

このシステムは、国土地理院が開発を担当し、水管理・国土保全局が運用を担当しています。

導入初日には、国土交通省の、「地震防災訓練」で、このシステムを用いた被害状況の報告が行われました。

さらに、9月9日から、11日にかけて発生した、関東・東北豪雨でも、被害状況を迅速に掲載することができ、様々な関係者から利用の要望が上がるなど、大きな反響を呼びました。

導入の背景

このDiMAPSを導入するきっかけは、東日本大震災での教訓です。

国土地理院、防災企画調整官の長谷川裕之氏は、当時のことをこう振り返っています。

「発災直後、迅速に被害の概要をつかみ、関係者と共有して状況認識の統一を図り、更にその情報をもとに、だれがどのような対策を行うのかを決定することが重要だった。しかし、東日本大震災は、被害が広域にわたっていたため、全体を把握することが困難だった。」

国土交通省では、従来から災害発生時の各種インフラの被害情報を、表形式に整理したものを、「被害報」としてまとめています。

まず各事務所が管内の情報を集め、それを地方整備局が集約し、更に本省が各地方整備局の情報を集約し、1日に2、3回の頻度で出しています。

しかし、ここで発生する課題は、土地勘のない者にとっては、表形式の被害報だけでは、被害がどこに集中しているか、逆に被害がないところはどこか、といった被害の全体像を把握することが困難という点でした。

そこで、被害報から自動的に、地図に載る上乗せ情報を迅速に作成し、一元的に分かりやすく掲示することが、求められました。

また、一般の方々に、被害報をより活用してもらうために、視覚的に見せることも併せて求められました。

その点を改善するために、まず、被害報を自動的にシステムに取り込めるようにしました。

情報は、全てブラウザから閲覧可能で、地方整備局による、被害状況などの入力も、ブラウザから行えるようにしたため、OS、PCなどのプラットフォームに依存せず使用可能になっています。

掲載されている情報は、事前情報と被害情報の2つに大別されます。

事前情報は、インフラの情報やハザードマップ、具体的には、土砂災害危険個所、浸水想定区域、緊急輸送路、道の駅、各種インフラなどです。

一方、災害発生後に掲載される被害情報は、震源、震度、津波、現地からの報告、道路・鉄道、河川などの被害情報です。

その中に、ヘリサット画像というものも掲載されます。

これは、ヘリコプターに搭載され、衛星回線を使用して、画像をほぼリアルタイムで配信できるシステムで、災害発生直後に需要となる、被害の全体把握には最適です。

実際に、9月9日からの関東・東北豪雨では、減りさっと画像、通行止め情報などを掲載し、様々な機関から、

「実際に活用した」
「ぜひ使いたい」

等の反響があり、活用の度合いが広がりを見せました。

今後の展望

今後ますます活用が期待されるDiMAPSですが、例えば、水害発生時に、ハザード情報と各種施設の情報を重ねて表示し、適切な避難個所の選定を行うなど、自治体等などによる避難計画への活用が期待されます。

今後の防災・減災に欠かせないのは、自治体などの身近なコミュニティーが、いかにきめ細かな避難計画を立てるか、というものです。

そのような観点からも、システムの課題として、操作画面の使い勝手の向上の他に、自治体や関係省庁のシステムに、DiMAPSのデータを取り込みたいとの要望や、逆にDiMAPSに掲載したいとの要望も出てきているようです。

まとめ

今後も、DiMAPSは運用しながら、改善が進められていくでしょう。

現時点では、あくまで国交省が管理する被害情報の表示だが、他の省庁、自治体との連携によっては、「停電情報」「水道・ガスの供給状況」など、新しい情報を共有することも可能になるだろう。

新しい防災の形として、私たちも有効に活用していきたい。

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