災害レジリエンスとは?日本の今後の災害対策を考えてみよう

災害レジリエンスとは?日本の今後の災害対策を考えてみよう防災

そもそも「レジリエンス」という言葉は、過去のトラウマや恐怖の記憶から立ち直るという、心理学の用語として広く普及したと言われます。

日本においては、労働環境の変化によって、セクハラやパワハラなど、様々なストレスにさらされる機会が増える中、これらのストレスに適応、回復できる能力としての、レジリエンスが必要と言われてきた事とから、この言葉が普及されてきました。

近年、自然災害が増えてきました。災害によって、大変つらい経験もしてきました。

そして、今後も増えると予想される大きな自然災害を前に、災害に対するレジリエンスをどう考えるのか、防災の分野にもレジリエンスが注目されています。

災害レジリエンスとは、具体的にどういうこというのか、詳しく解説していきたいと思います。

災害レジリエンスとは

災害に対する対応力という意味において、「レジリエンス Resilience」という言葉が、最近いろいろな場面で使われています。

この考え方は、様々な外からのリスクやストレス、衝撃に対して対処する能力をいい、別の言い方では、対応力、回復力、復元力、強靭さ、と言います

冒頭お伝えしたように、特に東日本大震災以降、日本の災害レジリエンスは、注目を浴びるようになりました。

ますます増えるであろう自然災害、または、その他の災害パンデミックに対して、どう対応していくべきか、この災害レジリエンスを改めて、チェックしていきましょう。

災害レジリエンスの3要素

災害レジリエンスとは、言い換えると災害対応力ともいえます。

災害への対策としては、国が行う対応である公助、地域コミュニティーで行う共助、そして、私たち一人一人が行う自助という区別があります。

これからの災害対応については、地域ごとの特性を踏まえて、政策の担当者や、住民自身が対処すべき局面を洗い出し、想定される被害の程度に応じて対策を講じていく、いわゆる共助が求められています。

地域の災害レジリエンスを考えるとき、どのような要素で考えていけば、その地域に合ったものになるか、3つの要素に分けて解説していきます。

予防力

地域が直面する災害に対して、まず考えなければいけないのは、防御し被害を未然に防止する予防的な対応です。

これを災害レジリエンスの要素のうち、予防力と言えますが、この予防策の範囲内で対応できる、災害の規模であれば、地域社会のシステムには大きな影響はなく、通常の活動を維持することができると考えられます。

例えば、公共施設の不燃化率を調整すること、公立小中学校の耐震化を強化すること、木造住宅耐震化事業、マンション耐震化事業の強化、等は、災害時に被害の拡大を防ぎ、災害リスクの低減をもたらす具体例になります。

順応力

事前に対策していたレベルを超える、大きな災害が発生した場合は、その影響を受け入れつつ、地域の様々なシステムを変えて、状況に応じて対応していきます。

この力は順応力と言えます。

予防策では対応できない規模の災害時には、地域の社会システムを、通常のものとは変えながら順応していく必要があります。

防災分野における災害時応援協定は、自治体が他の自治体や、民間団体などと締結している応援協定です。

このような存在は、災害発生時に被害の最小化と、地域の回復、順応力を高める要素となります。

福祉分野においては、地域の病院、診療所の存在は、災害発生時に被災者への避難所、医療の実施という大切な機能を担います。

また、地域内の井戸や、住宅用などの太陽光発電量の整備は、災害時の水源の供給、非常用電源の供給の役割を担うなど、地域のさまざまなシステムは、被害の最小化と、地域の回復、順応力を固める役割をしています。

転換力

3つ目の要素は、転換力ということができます。

東日本大震災を受けて、強力な津波に襲われた地域では、今では復興過程で土地利用の見直しや、高台への移転が行われるなど、これまでの地域のシステムの在り方に対して、根本的な転換を行ってきました。

そのためには、自治体の財政分野においても後ろ盾が必要ですし、実際に復興のための経済の立て直しについても、労働人口を増やす工夫、そして、再度災害が起きた際の、住民同士の絆を強くするための町会、自治会への加入率を上げるなど、転換力を高める要素があります。

国の災害レジリエンス

地域における共助の意味で、災害レジリエンスの3要素を紹介しましたが、国においても、災害に対する方針を打ち出しています。

国土強靭化の推進ということで紹介されている、国に基本方針を紹介して締めくくりたいと思います。

東日本大震災をはじめとする、過去の教訓に学び、平時の備えの重要さを伝えています。

・人命はなんとしても守り抜く
・行政・経済社会を維持する重要な機能が、致命的な損傷を負わない
・財産・施設などに対する被害をできる限り軽減し、被害拡大を防止する
・迅速な復旧・復興を可能にする

この基本方針をもとに、国や地域の経済社会に関わる分野を対象に、経済社会のシステム全体の、「抵抗力」「回復力」を確保することを目的に「リスクの特定」「脆弱性の評価」「計画策定/強靭化の取組み」「取組の評価」のサイクルを繰り返して、国全体の強靭化を推進していくとしています。

政府は、この強靭化という言葉を、レジリエンスと置き換えて発信しているようですが、自然災害のみではなく、大規模事故やテロなどを含めた、様々な国家的リスクをも見据えた対策を検討しているようです。

まとめ

この災害レジリエンスについては、私たちの災害に対応する力としては、まだまだ発展途上かもしれません。

今回紹介した、3つの要素について強化していくことで、日本という国の災害レジリエンスを、さらに強化することができます。

東日本大震災時に、世界から賞賛を浴びた私たちの力を、より強固なものにしていきたいものです。

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