災害拠点病院とは?災害時の大切な役割と今後の課題を紹介します。

災害拠点病院とは?災害時の大切な役割と今後の課題を紹介します。防災

災害拠点病院は、災害に備えて運営体制はもとより、施設や設備も整備された施設です。

災害時には被災した多くの人が、病院を受診することになるため、その指定条件も厳しく設定されています。

災害拠点病院の役割や、災害拠点病院委に求められる課題について、説明していきましょう。

災害拠点病院とは

災害拠点病院とは、災害発生時に、災害医療を行う病院を支援する病院のことをいいます。

災害拠点病院は、各都道府県が指定することになっており、

「基幹災害医療センター」
「地域災害医療センター」

の2つの機関に大別されます。

この災害拠点病院は、1995年の阪神・淡路大震災を受けて、同年4月に医療機関や、医師会の関係団体、その他関係する分野の専門家により、研究成果が発表され、患者の広域搬送や、応急用資器材の貸し出し、医療救護チームの派遣等に対応できるよう、設置が提言されました。

基幹災害医療センターは、各都道府県に1か所以上、一木災害医療センターは二次医療圏に、1か所以上が整備されています。

医療圏とは、都道府県が定める医療体制のエリア区分を示し、二次医療圏は、手術・救急など一般的な保険医療を提供する区域を指します。

災害拠点病院における役割

災害拠点病院の役割は、重症・重体に陥った患者の対応や、医療救護チームの派遣、患者の広域搬送などが挙げられます。

また、非常事態に備え、運営体制・施設は指定条件に沿った内容になっており、被災によってその機能が止まらないように運営されています。

そのため、災害拠点病院の運営体制や施設、設備については、しっかりとした基準が設けています。

運営体制の要件

災害拠点病院の指定要件のうち、運営体制について紹介します。

・24時間救急対応し、被災地に被災地内の傷病者を受入れ、搬入できる体制がある

・災害時の受入れ拠点となり、傷病者の搬送や物資の輸送を行える機能がある

・災害派遣医療チームを保有し、その派遣体制がある

・救急救命センター、または第二次救急医療機関である

・被災後に診療機能を早期回復できるように、BCPを整備している

・BCPに基づいて、被災を想定した研修や訓練を実施している

・第二次救急医療機関や、医師会、医療関係団体と定期的な訓練を実施している

・ヘリコプターの搬送の際、同乗する医師を派遣できる体制がある

施設や設備の要件

次に施設や設備についての要件ですが、運営体制に比べて、厳密かつ多数の条件が設けられています。

・災害拠点病院の求められる診療施設、設備がある

・診察機能のある施設が耐震構造になっている

・自家発電機があり、3日分ほどの燃料を確保している

・災害時における診察に求められる量の水を確保している

・病院の敷地内にヘリコプターの離着陸場がある

・災害派遣医療チームを派遣する車両を持っている

災害拠点病院の課題

現在日本では、700以上もの災害拠点病院が存在します。

災害拠点病院の設置の目的の通り、災害時でも医療サービスを継続的に提供すべく、その指定要件の通り、運営面、施設設備面の強化が進められています。

しかしながら、現状は推奨されてきたことも不十分な点があります。

その点をいくつか紹介します。

ライフラインの確保

東日本大震災、西日本豪雨、北海道地震など、大きな災害で浮き彫りになったのが、ライフライン機能が低下、もしくは断絶したことにより、適切な医療行為を提供できなかったことです。

また、通信機能が使えなくなると、患者の搬送を行えなくなり、救えたはずの患者が救えなくなるという事態も、発生してしまいました。

そのため、給水設備や自家発電設備の増設、強化のため、政府は必要な災害拠点病院に対して、補助金を支給し体制を整えようとしています。

水や電気も同様で、災害でライフライン機能がストップしても、3日間は自分たちで何とかするだけの体制が必要です。

病院間の連携の強化

ライフラインの強化に加え、病院間の連携の強化も課題の一つです。

病院の耐震化は年々進んではいるものの、まだ間に合ってない病院もあります。

万が一液状化や津波の被害に遭い、病院としての機能を果たせなくなった場合、患者を搬送したり、または医師を派遣したりする必要が出てきます。

その際、病院間での連携が必須です。

そのため、連携のシステム、通信システムの強化が急務といえます。

BCPの整備と運営

最後に、2019年3月までに義務化されている、

「BCPの整備」
「BCPに基づいた研修及び訓練の実施」

の進捗についてです。

現状では、BCPの策定率は50%程度といわれています。

BCPを策定しても、その実効性を高めるための訓練を定期的に行うことが重要となります。

しかしながら、多くの災害拠点病院のBCP訓練では、訓練をすることが目的化してしまい、セレモニー的な内容になっているようです。

より具体的な課題が出てくるような訓練をするためにも、過去の事例から問題点を整理し、訓練に取り入れているような工夫も必要でしょう。

まとめ

災害拠点病院は、災害時には多くの傷病者が頼る場所となります。

そもそも病院の機能継続が困難になれば、被害は甚大なものになり、多くの命が失われかねません。

最後にお伝えした課題の解決は、特に急務ですが、自分一人でもできる災害対策を考えることも、災害意識を高めるために必要ですので、災害に対しての備えを今一度、考え直してみることも大切です。

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