他人事から自分事へ。防災4.0の私たちへのメッセージを受け取ろう

防災

内閣府防災担当で進められた、将来の防災への在り方がまとめられている、「防災4.0」未来構想プロジェクト。

今後の私たちの生活に大きな影響を及ぼし、これまでの防災、減災の取組みの大きな転換となります。

その内容をまずは知り、国からのメッセージに耳を傾けたい。

自分事として捉える、1人1人の意識が、このプロジェクト成功のカギとなります。

防災4.0とは

「防災4.0」は、2015年12月、河野太郎内閣府特命担当大臣を座長として、立ち上げられた、未来構想プロジェクトを言います。

このプロジェクトは、地球温暖化に伴う気候変動により、激化する災害に対して、企業や国民一人一人にとって、本当に必要な防災対策は何か、多くの有識者を交えた提言を行い、社会全体の意識改革と、その取組の推進を目的としています。

防災4.0までの歩み

日本は、その自然的条件から、様々な災害による被害を受けやすい特性があり、これまでも、度重なる大災害を経験し、そのたびに様々な取り組みが行われてきました。

特に、防災4.0が発足するまでの、防災に関する取り組みの大きな転換点として、3つの大災害がありました。

1959年の伊勢湾台風、1995年の阪神・淡路大震災、そして、2011年の東日本大震災です。

これらの大災害を通じ、反省点や教訓は何かという点を、再度見直し、その間の考え方の変化や、弾劾的に講じられてきた措置について、それぞれ「防災1.0」「防災2.0」「防災3.0」とし、気候変動がもたらす災害の激化に備えるための契機とするこの取り組みを、「防災4.0」としました。

これまでの変化を少しご紹介すると、防災1.0では、国や地方公共団体、公共機関などの統一的、そして計画的な防災体制の整備を図るため、災害対策の最も基本となる法律である、「災害対策基本法」が制定されました。

また、この法律に基づく、中央防災会議の設置、防災に関する、総合的かつ長期的な計画である、防災基本計画の作成が行われました。

防災2.0では、官邸における緊急参集チームの設置など、政府の初動体制の整備が行われました。

また、建築物の耐震改修促進法、被災者生活再建支援法の制定が行われました。

防災3.0では、はじめて「減災」の考え方を、防災の基本理念として位置づけ、想定しうる最大規模の洪水などへの対策、原子力規制委員会発足など、原子力政策の見直しを行いました。

防災4.0がめざすもの

先ほど紹介したように、日本では、これまでの大きな災害を通して、防災に対する考え方を発展してきました。

一方、東日本大震災から5年が経過した今でも、災害規模の災害を想定した、防災対策における取組は途上段階です。

特に、国民、企業等が、災害リスクに主体的に向き合い、災害に対する備えの意識は十分とはいえなのが現状です。

また、地球温暖化に伴う気候変動により、災害がどんどん激化していくことも懸念されています。

2015年12月、COP21において、すべての国が参加する気候変動対策のための、新たな枠組となる、パリ協定が採択されました。

このような背景を踏まえ、防災4.0では、地域、経済界、住民、企業などの、多様な主体のそれぞれが、防災を「自分ごと」として捉え、相互のつながりやネットワークを再構築し、自律的に災害に備えることを防災4.0の目指す姿として捉えています。

公助の限界

防災4.0の目指すべき姿として、多様な主体それぞれが、自律的に備えることとお伝えしましたが、それは、公助の限界という点も暗に表しているといえます。

そして、国民や企業等が、災害リスクに主体的に向き合うために、必要な情報を十分に共有しつつ、自らの課題として備える意識が醸成されるような継続的な取組を各地域で促す必要があるとプロジェクトの中では言われています。

個人でできること

具体的にどのようにして、災害リスクに主体的に向き合うのか?

具体的には、住民や地域における備えについて、国民一人ひとりが自ら、備えの行動をするための機会を提示し、国民自らが意識を転換することが大切です。

また、市区町村の働きかけにより、地域の実情を踏まえて、自ら主体的に考え、地域住民と一緒に取り組むという意識を持ち、実践することが重要です。

最低3日間の飲食料品や、生活必需品などの備蓄、保険・共済の普及促進、分かりやすいハザードマップの作成などは、自治体主導のもと、個人でできる防災の取組といえます。

今後の展開

防災4.0プロジェクトは、先ほどお伝えした、個人でできる取組の推奨を行っているが、更に新しい提言として、

「企業における備え」
「情報通信技術の活用」

を今後の展開として記しています

自然災害が企業活動に与える影響は大きく、特に、企業規模が小さいほど、深刻な影響を被ることが多く、地域経済の中核を担う中小企業の、事業継続のための取組の推進を促しています。

また、最新の情報通信技術の活用として、小型観測衛星やドローンによる、空撮観測まで、災害の状況を正確に把握する方法や、その支援について検討すべきとしています。さらに、SNSなどの交流サイトによる、地域の情報法整備など、民間企業のノウハウやアイデアを、十分に取り入れ、住民を巻き込んで、地域での浸透を図るべきとしています。

まとめ

防災4.0のプロジェクトの内容を見ると、私たちはとてつもなく大きな課題に向け、取組をしていることが分かります。

しかしそれだけ、災害による大きなリスクが身近になっている事実があり、この課題に向けた取り組みは急務だといえます。

他人事でなく自分事として捉えようという、国のメッセージに、私たちは耳を傾けて、動き出さなければいけません。

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