一般社団法人日本防火・防災協会は、平成25年4月1日に設立されました。
防火・防災に関する講習、民間防火・防災組織の育成振興など、防火・防災活動の推進、思想の普及を図ることにより、火災をはじめ、その他の災害による被害を軽減し、社会公共の福祉の増進に寄与することを目的としています。
この団体が発行している、防災管理者という資格が、なぜ今注目されているのか、その詳細を解説していきます。
防災管理者とは?
日本の消防法では、
「火災以外の災害で、地震や毒性物質の発散などによる、災害被害の軽減のために、特に必要のある建築物、その他の工作物の管理権限者は、防災管理者を定め、防災管理に関わる防災計画の作成、当該消防計画に基づく避難訓練の実施、その他防災管理上必要な業務を実施させなければならない」
としています。
少々言葉が難しいですが、ここに出てくる、「災害被害の軽減のために、防災管理者の選任が必要な建物」を管理するために、取得すべき資格が、「防災管理者」というものです。
それぞれを詳しく解説していきます。
防災管理者を選任すべき建物
防災管理者が必要な建物は、大規模建築物や高層建築物などの建物です。
これらを、「防災管理対象物」といいます。
細かい条件があり、一部紹介すると、
・地階を除く階数が4階以下で、延べ面積50000㎡以上の建物
・地階を除く階数が5階以上10階以下で、延べ面積20000㎡以上の建物
・地階を除く階数が11階以上で、延べ面積が10000㎡以上の建物
これらの要件は、自衛消防組織の設置を要する、防火対象物と同じ要件になっています。
防災管理者になるには?
この防災管理者になるためには、いくつかの要件が必要です。
・防災管理業務を適切に実行できる「管理的・監督的地位」であること
・防災管理業務を行う上で必要な知識・技能を持っている(防災管理講習修了、学識経験者など)
・甲種防火管理者としての資格を持っている(甲種防火管理者講習修了、学識経験者など)
基本的には、「防災管理者新規講習」を受講・修了して、資格を取得するか、一定の学識経験者は、「防災管理者新規講習」を受講しなくても資格を取得できます。
ただ、この学識経験者の要件があり、それらを紹介します。
・大学や高等専門学校で、総理大臣の指定している防災に関する学科・課程を修めて卒業し、かつ、1年以上の防火管理の実務経験があり、更に1年以上の防災管理の実務経験を持っている
・市町村の消防職員で、管理的・監督的な職に1年以上就いていた者
・労働安全衛生法第11条第1項に規定する安全管理者として選任された者
・防災管理点検資格者講習を受講・修了し、免状の交付を受けた者
・国もしくは都道府県の消防の事務に従事する職員で、1年以上の管理的・監督的な職に就いていた者
・建築主事または1級建築士の資格を持っている者で、1年以上の防火管理の実務経験と、1年以上の防災管理の実務経験がある者
・消防法第13条第3項に規定により危険物保安監督者として選任された者で、甲種危険物取扱者免状のある者
・鉱山保安法第22条第3項に規定する保安管理者として選任された者
・警察官やこれに準ずる警察職員で、3年以上の管理的・監督的な職についていた者
・市町村の消防団員で、3年以上の管理的・監督的な職についていた者
・消防庁長官が前記に準ずるものとして定める者
資格取得の流れ
「防災管理者」の資格取得のためには、防災管理講習を受講する必要があります。
講習について解説します。
まず、一般社団法人日本防火・防災協会のホームページを検索します。
そこで、講習会の開催日などの確認を行い、受講申し込みを行います。
受講料の支払い後、講習の準備を行い、講習日を迎えます。
防災管理新規受講は、1日約4時間半かけて受講行います。以下が、受講内容になります。
・防災管理の意義及び制度
・施設・設備の維持管理
・防災管理に係る訓練及び教育
・防火管理に係る消防計画など
・効果測定
この防災管理者の有効期間は、5年間になります。
更新するためには、決められた期間以内に、再講習を受講する必要があります。ただし、更新が必要なのは、防災管理者に選任されている方のみです。
まとめ
防災管理者について、その資格の内容や受講の流れについて、解説してきまいた。
防災管理者はお伝えした通り、自然災害の他にも、テロ災害などもその範囲となります。
めったに起きない災害ではありますが、いざという時に、力を発揮するために、様々なことを予測して、消防計画、避難訓練を実施する必要があります。
このような資格取得者がいるからこそ、多くの施設の安全が守られているのだと、知ることから、始めていきたいものです。
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