2016年からスタートした被災者台帳の整備は、2018年のデータによると、全国の3割に当たる511市区町村の導入が済んでいる。
被災者救援の支援漏れを防ぐために、国が進めているこのシステムだが、これまでの大きな災害でも大きな効果を発揮しました。
しかし、実際にまだまだ導入していない市区町村がいることは、大きな課題でもあります。
この被災者台帳について、詳しく知ることで、導入のきっかけになってくれることが一番ですが、実際に被害にあったときに、よりスムーズに手続きができるように、しっかりとこの内容を知ってもらいたい。
被災者台帳とは
被災者台帳とは、災害発生した場合に、被災者の援護を総合的、かつ効果的に実施するための基礎となる台帳を言います。
災害対策基本法により、市町村にて作成、管理をすることとされており、総務省が2016年から、被災者台帳の都道府県別整備状況をまとめています。
この台帳を使い、管理するシステムを被災者台帳システムといいますが、今では多くの市町村が運用を行っています。
目的
この被災者台帳システム、が多くの市町村において導入されるように、この目的についておさらいしておきましょう。
一番の目的は、「一人の取り残しもしない」という言葉を掲げているように、被災者が受けるべき給付や減免などの、「抜け・漏れ・落ち」を防ぐということです。
大きな災害が起きた場合、被災者は自分自身の備えだけでは、到底生活の立て直しはできません。
被災者の多くは国からの公助を頼りに、生活の立て直しを行います。
その際どうしても必要なのは各種手続きです。
ただでさえ、負傷しているかもしれませんし、もしくは大切な人を無くしてしまったという、状況もありえます。
そのようなときに、少しでも被災者の負担を減らすためにも、この被災者台帳は役に立ちます。
メリット
「一人の取り残しもしない」という大きな目的を掲げ、この被災者台帳システムを導入することで、県や市町村、そしてなにより被災者が受けるメリットは、スムーズに各種支援を受けることができることでしょう。
被災者台帳は市町村の管理のもと行います。
県から受ける支援、市町村から受ける支援がそれぞれある中、同じ手続きや調査を何度も行うという手間は、大変な思いをしながら生活している被災者には、大きなストレスとなります。
市町村でそのデータを一括管理し、県とも共有することで、迅速な手続きが可能になります。
今後は、各種証明書を不要とする動きもあり、より迅速な給付手続きが可能となってきます。
被災者台帳の情報
実際に被災者台帳の基礎的な部分では、どのような情報が必要なのかを紹介します。
まず、必要な情報は、「住民基本台帳情報」ます。
氏名(ふりがな)
生年月日
性別
世帯主の氏名及び世帯主との続柄
住所
個人番号
世帯番号
そして、「固定資産税課税台帳情報」です。
物件番号(本番号)
一棟コード(一棟資産番号/枝番号)
所在地
現況(用途)
所有者氏名
所有者コード
最後に、「建物被害認定調査結果/り災証明発行簿」です。
り災建物の住所
所有形態
被害認定結果(全壊/半壊 等)
り災証明の発行申請者名
住所及び連絡先
り災世帯の構成員の氏名
各市町村において、各種支援の実施記録(項目、受付状況、実施状況)や、支援業務で集められた情報のうち、市町村内で共有する必要がある情報は、随時、被災は台帳に追加されていきます。
・義援金の受付・発行記録
申請者名、申請受付年月日、義援金の金額、支払いをしたかどうか、支払い実施年月日、口座番号など
・応急仮設住宅入居管理簿
入居している応急仮設住宅の所在地・部屋番号、電話番号、入居構成員、被災前住所、緊急時連絡先、市町村職員の訪問記録
・応急住宅修理
申請者氏名、申請受付年月日、適用する家屋の所在地、応急処置の時期
年々増える自然災害において、国や県で講じられる支援策は今後増えると予想されます。
そのような支援策の実施状況も追加されていくようです。
被災者台帳の問題点
被災者台帳の導入は、年々増えてきてはいるものの、まだまだ足踏みしている市町村があることは、大きな問題点だとされています。
すでに導入している市町村において、実際に災害が発生し、このシステムを使った事例が数多く報告されています。
災害が発生した直後、あまりにも多くの支援要請や被害情報が寄せられ、大変混乱し、情報の整理集約が間に合わなかったこと。
世帯情報を住民基本台帳から、正しく取り込めなかったことや、入力したい事項に制限がかかり、被災者台帳に反映できないなどの問題が発生しています。
また、被災者の支援情報などが、所管する部局ごとに管理され、災害が発生した後に十分に機能しなかった、という事例も発生しています。
このような課題をまとめていくことで、次の災害時に活かせるように、整備していくことはもちろんですが、これから導入する市町村に向けた、メッセージとしても活用していくべきでしょう。
まとめ
この被災者管理システムについては、まだ導入していない市町村に向けて、様々支援が行われています。
すでに導入している、市町村の事例を知ることも大切ですが、例えば、出前講座で無料の講座を活用するなど、市町村の住民にとって、安心できる仕組かどうか、確認することから始めるべきでしょう。
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