大規模な自然災害が発生すると、地域経済が大きな影響を受けます。
これらを防ぐためには、事業者が事前に備えることにより、経済活動への被害を最小限に抑え、速やかに復旧することが、地域経済を守ることに繋がる道です。
日ごろからできることとして、取引先、金融機関、事業者団体との、連携・コミュニケーションを図り、防災対策を実施することが大切です。
防災経済コンソーシアムでは、事業者が行うべき一連の防災対策をサポートするために設立されました。
今後起こりうる災害に備えて、官民一体で取り組んでいかねばなりません。
防災経済コンソーシアムとは?
2018年3月23日、内閣府の声掛けの下、幅広い業界団体などにより、検討・準備を進めてきた「防災経済コンソーシアム」が設立されました。
これからの防災対策には、個々の事業者が、災害に対して事前の備えを拡充していく「自助」が不可欠です。
事業者が、耐震補強やBCP対策などによる、リスクコントロールと保険加入、融資、現金保有などによる、リスクファイナンスの適切な組み合わせによる、効果的な災害リスクマネジメントを、実施していくよう、コンソーシアムメンバーが、創意工夫して、事業者にアプローチしていきます。
設立の経緯と目的
平成28年熊本地震、台風第10号災害、平成29年九州北部豪雨、平成30年の1月の大雪、6月の大阪北部地震などなど、近年大規模な地震災害や、豪雨災害が頻発しています。
今後も、首都直下地震や南海トラフといった、巨大地震の発生や、地球温暖化に伴う風水害の激甚化が懸念されています。
このような状況にあって、日本国としての総合的な防災力の向上が重要であり、特に自助・共助・公助の連携が必要不可欠です。
また、東日本大震災では多数の企業が倒産し、5年間の倒産件数は1898件に上っています。
このような状況を踏まえ、日本国においては、災害リスクファイナンスを普及することにより、災害により経済的な被害を受けても、事業の継続性が確保され、地域経済を速やかに回復させる、災害に強い社会づくりが重要視されています。
しかしながら、事業者としては、災害リスクファイナンスの必要性を感じつつも、情報不足により、何から取り組めばいいのかわからない、という状況があります。
また、地域金融機関としても、事業者のニーズに応じたリスクファイナンスの、情報提供や保険商品の提案など、事業者にリスクファイナンスを促す体制が十分ではない状況にあると考えられているようです。
このような観点から、事業者が自然災害に対して、災害リスクマネジメントを実施して、事前の備えを充実させることを、コンソーシアムを通して推進することが主な目的といえます。
そして、事業者の災害リスクマネジメント力が向上し、結果として社会全体の防災力が高まるように、「防災経済行動原則」を策定し、コンソーシアムの基本理念として掲げています。
メンバー
コンソーシアムのメンバーは、以下の団体で構成されています。
外国損害保険協会
経済同友会
全国銀行協会
前項商工会連合会
全国信用金庫協会
全国信用組合中央協会
全国中小企業団体中央会
日本経済団体連合会
日本商工会議所
日本税理士会連合会
日本損害保険協会
日本損害保険代理業協会
日本保険仲介人協会
これらの団体により、取引先企業や傘下組織に対し、地震や水害のリスク、被害想定等の情報を提供し、啓蒙活動が行われています。
近年の活動しては、日本商工会議所が、中小企業BCP策定や、損害保険加入促進などのビジネスリスクへの対応支援を実施しているほか、BCP策定企業に対し、災害時においても円滑な資金調達が可能になるような仕組みを導入しています。
リスクマネジメントとは?
ここで、防災経済コンソーシアムの目的である、リスクマネジメントとは何か?簡単に解説をしておきます。
コンソーシアムの中では、リスクマネジメントの中でも、リスクファイナンスに重きを置いて、実施をしていきますが、リスクファイナンスとは、災害時に発生する、財務的なリスクを管理することです。
防災というと、防災マニュアルの作成や、BCP(事業継続計画)の作成、建物の耐震補強などが注目されていますが、これらはまとめて、リスクコントロールと呼ばれています。
BCPを作成する段階で、リスクファイナンスについての項目も確かに存在しますが、実際に日本で作成されているBCPの多くは、企業の総務部や各部門でのヒアリングがメインで作成されており、財務の面が弱いという特徴があります。
リスクマネジメント全体を考えると、リスクコントロールとリスクファイナンス、両方が重要になり、今後企業の自然災害への対策を考えるにあたっては、これらの普及が急務だと言えるでしょう。
防災経済行動原則
最後に、コンソーシアムメンバーが、尊重すべき理念として掲げている、防災経済行動原則について、要約をお伝えしましょう。
この中に書かれている、事業者が行うべき4つの事前の備えを、主に推進していきます。
・自らの災害リスクを適切に認識把握すること
・認識把握した災害リスクに応じて、リスコントロールとリスクファイナンスの組み合わせによる効果的な災害リスクマネジメントによって防災対策を実施する
・自らが主体的に行動するため、役職者への防災教育の充実により意識向上をはかる
・自らの事業経営に不可欠な、取引災、金融機関、事業者団体などの、関係機関などと連携を図り、自助・共助の防災対策を実施する
まとめ
日本の防災力を向上させるためには、防災経済コンソーシアムの支援の下、それぞれの事業者が、それぞれの課題へ取り組んでいかねばなりません。
より強い国にするために、より一層の推進を期待したいものです。
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