東日本大震災の教訓を活かそう。災害時、福祉避難所の役割と運営方法

東日本大震災では、犠牲者の過半数を高齢者が占め、また、障がい者の犠牲者の割合いについても、被災住民全体のそれと比べ、2倍程度に上がったとされています。

これらの課題を受け、内閣府は平成28年4月に「福祉避難所の確保・運営」におけるガイドラインを作成しました。

このガイドラインの活用を通じて、地方公共団体や関係機関の福祉避難所に対する理解が進み、確保・設置が推進され、災害時に配慮を要する被災者へのより良い対応が実現することが期待されています。

特に、平時の取り組み無くして、災害時の緊急対応を行うことは不可能との認識に立ち、福祉避難所についても、市町村を中心とした取り組みを解説していきます。

福祉避難所とは

福祉避難所とは、災害が発生した際に、障害者や高齢者、妊産婦、乳幼児、病弱者など、いわゆる要配慮者を受け入れ可能な、特別な配慮がなされた避難所を言います。

特別な配慮という点においては、災害対策基本法によって、以下のような基準が定められています。

・要配慮者の円滑な利用を確保するための措置が講じられていること

・災害が発生した場合において、要配慮者が相談し、又は助言その他の支援を受けることができる体制が整備されていること

・災害が発生した場合において、主として要配慮者を滞在させるために、必要な居室が可能な限り確保されること

このように、改めて要配慮者へ、避難所のガイドラインが制定されたのは、東日本大震災において、福祉避難所の課題が浮き彫りになったことが大きなきっかけです。

東日本大震災では、岩手・宮城・福島の3県で約41万人、全国で約47万人が避難生活を余儀なくされました。

避難所の解消までは、岩手県で7か月、宮城県で9か月、福島県では2年9か月かかっており、避難生活の長期化が顕著であり、対応体制も満足できるものとは、ほど遠かったと言われています。

また、被災地が広域に及び、相当数の避難所が立ち上がったため、十分な専門的支援を供給できなかった点も、課題としてあげられています。

これらの課題を受け、福祉避難所のガイドラインでは、平時の取組み、災害時の取組みについて、具体的に提示しています。

このガイドラインを、各自治体の状況に合わせて、実際に活用していく必要があります。

福祉避難所の平時の取組み

いつ起こるかわからないのが災害ですが、だからこそ、平時からの準備はとても大切です。

まずは、福祉避難所を利用する予定者が、どれくらいいるのか、利用可能な施設はどれくらいあるのか、また、地域住民への周知も必要ですし、関連施設との連携も必要です。

過去の災害における対応などの経験を活かして、スムーズな運営、利用ができるように、平時からの準備は欠かせません。

現況の確認

まずは、いざという時のために、福祉避難所の対象となる人の数、そして、活用できる施設の数を把握することです。

要配慮者の把握のためには、民生委員や障がい者団体など、様々な団体からの情報について活用し、把握する必要があります。

また、福祉避難所として利用可能な施設を洗い出しておく必要もあります。

そして、それらの施設について、所在地、名称、所有者や、使用可能なスペース、施設・設備の状況、職員体制、受け入れ可能人数などを調査して、整理しておくことが大切です。

この現況の確認ができたら、福祉避難所としての指定に関して、市町村と施設管理者との間で、十分調整を行い、福祉避難所の指定に関する協定を締結します。

福祉避難所の施設整備と住民への周知

次に市町村は、様々な媒体を活用して、福祉避難所に関する情報を、住民に周知する必要があります。

特に、要配慮者及びその家族、自主防災組織、支援団体などに対しては、周知徹底を図る必要があります。

福祉避難所は、より専門的な支援や擁護の必要性の高い避難者のために確保されるものです。

一般の指定避難所で生活可能な避難者に対して、利用の対象としない旨については、あらかじめ周知しておくべきでしょう。

住民への周知と共に、重要になるのが、施設管理者と連携して、福祉避難所として機能するための必要な施設整備を行うことです。

特に、在宅酸素療法を必要とする障がい者など、受入れをする場合は、電源の確保が欠かせません。

また、介護や処置、器具の洗浄などでは、清潔な水を必要とすることから、水の確保も必要となります。

できるだけ、要配慮者の不安を取り除くと共に、ニーズを把握するための、情報伝達を円滑にできる準備が大切です。

その他の施設との連携

最後に、市町村は施設管理者と連携して、福祉避難所における、必要な物資や器材の備蓄、そして人材の確保を図らなければいけません。

このような物資や器材は、雑賀が発生した当初の段階では、調達は困難だと予想されます。

そのため、できるだけ速やかに調達できるよう、協定の締結時などに、事前に対策を講じておくことが大切です。

福祉避難所は、一般の避難所に比べ、気弱性の高い高齢者などの被災者が多くなると予想されます。

また、災害による生活環境に変化で、健康被害も受けやすく、災害直後には状態が安定した避難者でも、状態が悪化して支援が必要になることも、考えられます。

そのようなことを考えると、人材の確保については、専門職を中心とした支援人材の確保が重要になります。

専門的人材の確保については、自治体間の相互応援協定による、職員派遣の他、社機福祉協議会の関係機関、社会福祉施設の職員やそのOB、障がい者・高齢者などの支援団体、専門家、専門機能団体などと平時から連携を確保しておくべきでしょう。

福祉避難所の災害時の取組み

実際に災害が発生し、または、発生の恐れがある場合で、一般の避難所に避難してきた人で、福祉避難所の対象の人がいたりと、福祉避難所の開設が必要だと判断した場合は、施設管理者に開設を要請していきます。

その際のポイントについて、紹介していきましょう。

福祉避難所の開設と受入れ

福祉避難所を開設した時は、職員にはもとより、要配慮者及び、その家族、自主防災組織、地域住民、支援団体などに速やかにその場所を周知します。

そして、要配慮者の受入れに必要な、ポータブルトイレや手すり、仮設スロープなど、日常生活上支援を行うための消耗器材を確保していきます。

これらにかかる費用については、国庫負担を受けることができます。

福祉避難所における支援の提供

福祉避難所が開設し受入れがスタートした後、市町村は、福祉施設の入居者の処遇に、支障を生じたり、施設の運営体制を阻害することがないよう、必要な支援を行う必要があります。

地域における福祉避難所には、福祉避難所担当書行員を派遣し、管理雲煙にあたらせます。

また、一般の避難所の避難運営組織に、要配慮班を設置している場合は、避難所の管理運営と同時に、要配慮班とも連携を図ります。

大規模な災害時や、避難スペースや支援物資などが限られた状況では、避難所全員、または要配慮者善人に対する機会の平等性や公平性だけを重視することは難しい。

介助者の有無や、傷害の種類、程度などに応じて、優先順位をつけて対応をする必要があります。

そのため、平時から災害時要配慮支援班、避難所の施設管理者、要配慮者班は、要配慮者への確実な情報伝達や、物資の提供などの実施方法について、確認しておく必要があります。

まとめ

このガイドラインは、多くの地方公共団体で活用されるように、標準的な項目について記載しているようです。

大切なことは、このガイドラインを参考にして、地域の特性や実情に合わせて、必要となる対策について検討することでしょう。

私たちもこれらを踏まえて、個々の平時の対策を講じていきたい。

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