最近多発している自然災害において、被災者の救助や、病院までの搬送時の様子が、メディアにも多く映し出されています。
その中で、必ず登場する救急救命士。
彼らの仕事は、緊急性が非常に高く、瞬発的な判断力が求められる仕事であり、同時に、大きなプレッシャーがかかる仕事でもあります。
しかし、人の命を守るという意味では、大切な役割があり、やりがいも大きいでしょう。
この救急救命士について、あまりその役割や、どのようにしたら資格を取得できるのか、知られていません。
この機会に、彼らのことについて知識を深めましょう。
救急救命士の役割
救急救命士は、病院に搬送されるまでの間、傷病者に対して、「救急救命措置」を行うことが主な役割です。
病気やけがの中には、命に関わるものと関わらないものがありますが、「救急救命措置」は、命に関わる人に行われます。
その代表的な状態は、「心停止」の状態ですが、その場合、救急救命士は、心停止状態になってから病院に行くまでに、「AED(自動体外式除細動器)」を使用し、心臓に正常な拍動を促します。
ひと昔前は、救急隊員は医師でないため、「医療行為を行うことはできない」とする、法制度の限度により、救急搬送時の医療行為が一切禁じられていました。
しかし、諸外国に比べ、心肺停止患者の救命率、社会復帰率があまりに低いこと、目の前で苦しんでいる人がいるのに、法の壁によって、手を差し伸べることができないという現場の声もあり、1991年4月23日に救命救急士法が制定されて制度化されました。
救急救命士と看護師の違い
救急救命士の仕事と似ているものに、看護師がありますが、その違いを解説していきましょう。
どちらも国家資格を取得しないと、その仕事に就くことができないという点では、似ているところが多いです。
仕事の内容について言えば、看護師は、患者などに対し療養上の世話や、医師による診察の補助を行うのに対し、救命救急士は、病院以外の場所で発生した傷病者に、観察・処置などの初期対応を行います。
また、看護師は患者の病状が、急性期から慢性期まで、幅広く関わることができますが、救命救急士は、救護現場から医療機関に引き継ぐまでの応急処置に関わることが多いです。
救急救命士になるには?
救急救命士になるには、国家資格を取得しなければなりません。
資格取得後は、主に消防署に勤務し、消防官になります。
しかしながら、消防官になったとしても、国家資格がなければ、救急救命士になることはできません。
消防官になることと、救急救命士になることは、大きな違いがあるので注意が必要です。
救急救命士になるためには、2つのルートがあるので、それらを紹介していきます。
消防官になる
救急救命士になるための、一つ目の方法は、消防官になるというものです。
消防官になるためには、最低でも高校を卒業しておく必要があります。
高校卒業後、公務員試験と消防官採用試験に合格すると、消防官になることができます。
その後、以下の4つのステップを経て、救急救命士になることができます。
・消防士試験を受ける
・救急隊員として5年、または2000時間以上の実務経験を積む
・救急養成学校に入学する(半年)
・救急救命士の国家資格を受験し、合格する
養成学校を卒業する
救急救命士になるための、もう1つ目の方法は、養成学校を卒業することです。
救急救命士養成学校では、4年制大学、修業年限が3年生の専門学校、修業年限が2年生の専門学校の3つがあります。
一般的には、まず高校を卒業し、そのあと養成学校に入学する場合が多いようです。
養成学校を卒業すると、国家資格を受験することができ、合格すると、救急救命士の資格を取得できます。
その後、以下の3つのルートに就職することで、救急救命士になることができます。
・公務員試験を受け、消防官として採用される
・救命救急センターや医療機関などに就職する
・自衛隊に入隊する
救急救命士の進路
最後に、救急救命士の資格を取得後、どのような進路に進むことが多いか、紹介していきましょう。
「消防署」
救急救命士の最も一般的な就職先は、消防署です。消防署に就職するには、各自治体の「消防官採用試験」を受験し、合格する必要があります。
その試験に合格し、「消防官」に任命され、救急救命士として働くことができます。
「自衛隊・海上保安庁」
消防署の次に多いのが、自衛隊、海上保安庁への就職です。
自衛隊に入隊した場合は、自衛隊病院に勤務し、最前線で負傷した自衛官の救急救命措置を行う、という任務があります。
また、海上保安庁の救急救命士は、「特殊救難隊」と呼ばれ、海での遭難などの、海難救助を行う仕事となります。
「民間の患者搬送事業所」
3つ目に、救急救命士の資格取得後、民間の患者搬送事業所に、就職するという方法もあります。
民間の患者搬送事業所は、「民間救急」と呼ばれています。
こちらは、公務員ではなく、民間の事業者のもとで働くことになります。
民間救急の例としては、東京スカイツリーの展望台の救護室にて、常駐している救急救命士があります。
東京スカイツリーのような、大規模な施設や、大勢の人が集まるイベント会場にて、救急救命措置を行うことが、主な仕事になります。
まとめ
いかがでしたか?
国家資格である救急救命士ですが、人材の必要性は、今後ますます増えてくると予想されます。
自然災害だけでなく、命を繋ぐ彼らの仕事に少しでも、興味関心を抱き、資格取得者が増えることを祈ります。
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