堅固で不燃構造の建物であるマンションは、地震発生時の揺れに対して、強い構造にはなっています。
しかしながら、電気・水道などのライフラインが長時間途絶した場合や、水害ハザードマップへの対応などは、あまり検討されていませんでした。
まさに、複合災害への対応が、緊急の課題となっています。
このようなリスクに対し、複合災害に強いマンションづくりや、災害後の復旧・復興を視野に入れた対策を講じている民間の団体があります。
MALCAという団体が運営する、マンション防災認定管理者制度について、詳しく解説していきます。
マンションの災害対策の課題
マンションは、耐震、免震構造により、地震発生時に揺れに対して、ある程度のシェルター機能を果たす役割があり、地震には強い建物だと言われています。
しかし、水害、台風、猛暑など、地震以外の災害への対応が、今後の課題とされています。
例えば、マンションの電気設備は地階や1階にあるため、浸水による電力喪失が起きやすく、電気設備が使用不能になると、エレベーターや照明だけでなく、給排水設備も使用できなくなります。
特に、中階以上の住戸では、エレベーターの停止や、給水ポンプが稼働せず、上下水道が使用できないなどと、生活に与えるダメージが大きく、多数の人が暮らす高層建物であるがため、深刻な事態になる可能性も秘めています。
このような、課題がある中で、複合災害に強いマンションづくり、災害後の復旧・復興を視野に入れた総合対策を、組織的、計画的に進めていく必要があります。
しかしさらなる課題は、日本において、マンション防災に特化した研修制度がなく、これを担う人材も育っていないということです。
この課題に対して、国や自治体などの行政機関と、現場であるマンションをつなぐと共に、管理会社や関連事業者などを含む関係者の相互理解を深め、協力を推進する中間支援組織として、一般社団法人マンションライフ支援協会（通称MALCA）が、その役割を果たしています。
MALCAが設けている制度や、協会について、詳しく解説していきましょう。
マンション防災認定管理者制度
一般社団法人マンションライフ支援協会、通称MALCAが、マンションに特化した防災研修として、マンション防災認定管理者制度の認定を行っています。
MALCAでは、様々な知見をもとに、水害対策なども含む、マンションの災害対策の特殊性やマンション生活継続計画の考え方、目的、防災計画の策定方法、管理組合などの組織的対応、合意形成ファシリテーション能力の向上、復興・復旧手法など、マンション防災に特化したプログラムとなっています。
この資格認定制度は、レポート事前提出、2日間の研修を受講し、試験に合格した人には、「マンション防災認定管理者（中級）」の証書を授与し、さらに上級の資格試験への道を拓くこととしています。
マンションライフ継続支援協会について
マンション防災認定管理制度の認定を行っている、一般社団法人マンションライフ継続支援協会は、平成25年3月15日に法人設立されました。
通称MALCAは、Mansion Life Continuity Associationの略です。
主な事業としては、
マンション防災認定資格制度研修の実施、
マンション防災の普及啓発、
マンション防災に寄与する制度などの認証、
マンション管理組合防災会などへの講演、
など、マンションに特化した防災の啓蒙活動を主な活動内容としています。
最近では、MLCP（Mansion Life Continuity Plan）といって、多くの企業が導入している、BCP（事業継続計画）と同じように、地震発生後マンション居住者が自助と共助で生活を継続するための、行動計画の策定支援などにも力を入れているようです。
このMLCPは、共同生活、共同行動をとることで、お互いに助け合い、被害の拡大を防ぐとともに、スムーズな復旧・復興が進むことを目標にしています。
MALCA認証マークについて
最後に、マンションの防災性能向上と、安全安心な社会を目指し、MALCA認証マーク事業について、紹介していきます。
マンションでの、安全・安心・快適な日常生活および、災害時の防災・減災や生活継続の有効性が認められるものに、「MALCA認定マーク」を付与しています。
マンション居住者、事業者の防災、生活継続能力の向上、安心安全な社会形成の一助となることを目的としています。
MALCA認定マークの審査を、客観的かつ公正に実施するために、審査委員会を設定したり、認証の更新もあるなど、この認証マークの使用が乱用されないような体制も整っています。
まとめ
地震につい良いとされるマンションでも、課題があり、その課題について取り組んでいるMALCAの役割を考えると、今後の日本においてはとても重要な役割を担っていることがご理解いただけたでしょう。
ますます増えていくであろう、自然災害に対して、あらゆる角度から対策を講じていきたいと考えております。
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