20113月11日に発生した、東日本大震災は、東北地方と関東地方の太平洋沿岸に、壊滅的な被害をもたらしました。
また、地震と津波に伴い、東京電力福島第一原子力発電所事故により、周辺住民の避難指示が出され、多くの人が避難生活を余儀なくされました。
実は、このような中、避難生活の長期化に伴い、トラブルや被災地からの避難者に対するいじめなどの人権問題が発生していることを、ご存じでしょうか?
私たちは、このような現状を知ると共に、今後も発生する自然災害により、同じような人権問題が起きないような、対策、今後の課題について、もっと知るべきでしょう。
災害に伴う人権問題
災害と人権問題は、切り離せない関係にあります。
2011年の東日本大震災における、福島第一原子力発電所の事故により、避難された人々に対して、風評に基づく嫌がらせが発生しました。
また、2016年に発生した、熊本地震においては、避難所におけるプライバシー確保の他、障がい者、女性、高齢者、外国人など、要支援者への配慮が必要だと、改めて認識されました。
内閣府が行っている、「人権擁護に関する世論調査」の結果によると、多くの人が人権問題に対して、問題意識を持っていることが分かります。
「避難生活でプライバシーが守られない」
「要支援者に対して配慮が不十分」
「避難生活の長期化による嫌がらせ」
と、具体的にはこのような、意見が多く見受けられます。
このことを受けて、法務省の人権擁護機関では、新たな人権侵害の発生を防ぐために、様々な啓発活動を実施しています。
今行われている対策について、ご紹介していきます。
人権問題への対策
被災者の方々は、その後の避難生活でも多くの困難に苦しみます。
中でも、高齢者や障がい者、病人やけが人、心理的な影響を受けやすい子供や、言葉の壁がある外国人など、特別な援助や配慮が必要な人たちへは、より大きな困難に見舞われます。
風評によるいじめへの対策、そして要支援者への対策の一部をご紹介します。
東日本大震災被災者に対するいじめの防止
福島第一原発事故により、地方へ避難してきた家族、子供へ、いじめが行われた事件は、まだ、みなさんの記憶に新しいでしょう。
当時は、まず個別面談、保護者への連絡などにより、児童、生徒がいじめを受けていないか、悩みや不安を抱えていないか、できるだけ早く把握するように努めることが、最優先の対策として行われていました。
もし、いじめの事実があると思われるときは、速やかに学校における、いじめ等の防止対策のための組織において、情報を共有し、いじめの事実の有無の確認、被害者への支援などの対応を図るよう指導されていました。
被災児童、生徒が受けた心身への多大な影響、慣れない環境への不安などを、教職員が十分に理解し、児童、生徒に対する心のケアを適切に行うことがとても大切だとされていました。
要支援者の人権を尊重する活動
熊本地震において、高齢者、障がい者など、いわゆる要支援者への配慮と支援については、様々な地域で問題視され、その対策を講じる自治体が増えています。
その一つに、災害発生時の避難に特に支援が必要な人を、あらかじめ確認しておき、災害発生の危険が生じたときに、近隣住民が支援し、速やかに避難できるようにと、市町村が行う避難支援体制づくりがあります。
避難行動要支援者として、把握していない住民であっても、家族が勤務で不在などの際は、地域で支援を行うよう働きかけています。
このように、要支援者への対策として、地域でのつながりを強めることが、とても大切な要素だといえます。
今後の課題
災害時の人権問題への課題は、今後も継続して取り組まれていくでしょう。
その中で、ポイントとなるのは、やはり地域ごとの対策と、家庭での対策でしょう。
先ほどもお伝えした通り、平時からの見守りや声掛けを行い、いざという時に、地域のみんなが避難できるように、災害時の役割を決めておくことは、とても大切だといえます。
また、要支援者やそのご家族の方は、日ごろから地域の方々と、積極的につながりを持っておくことも大切です。
そして、住民一人一人の意識も大切です。
災害時用の家庭での備蓄食料、飲料水は最低でも3日分を用意しましょう。
ライフラインが使えないことを想定して、1週間分の備えがあれば安心でしょう。
要支援者がいる家庭では、その方々にあった食料や常備薬の準備も欠かさないようにしておくことが大切です。
まとめ
最後に、私たちが人権問題を考えるとき、忘れてはいけないことは、震災の記憶を風化させず、身近な体験として受け止め続けることでしょう。
普段から、人と人とのつながりを意識することがとても大切です。
それが結局は、人権を守ることにつながるでしょう。
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