東日本大震災や熊本地震など、過去に発生した大きな災害が、私たちに教えてくれたこと。
それは、巨大災害から住民の命と生活を守るためには、自分たちの命は自分で守る「自主防災」、そして、コミュニティに根差して取り組む「地域防災」、が不可欠ということです。
地域のことをよく知っているからこそ、様々な対応ができるという、自主防災組織は、自主防災の中心的な役割を担っています。
先人たちの経験を無駄にしないためにも、自主防災組織について学び、防災意識を高めたいものです。
防災力を向上するために必要なこと
効果的な防災対策は、「自助」「共助」「公助」の3つが、上手く連携することで、成しえることだと言われています。
一昔前までは、防災は行政の仕事といわれていましたが、阪神・淡路大震災以降は、今現在の官民一体となった防災対策が必要不可欠という考え方が必須です。
事実、阪神・淡路大震災では、家屋の倒壊によって被災した人のうち、約95%の人は、自力または家族や隣人に救助されたと言われています。
災害が大きくなるほど、被災者の数も膨大になり、情報は混乱し、公共施設が被害を受けることから、防災機関も適切な対応ができにくくなります。
このような事実からも、住民の防災力を向上するためには、顔の見える関係、地域密着でしかできない活動が、とても大切な役割を持っています。
自主防災組織とは
自主防災組織とは、主に町内会や自治体が母体となって、地域住民が自主的に連携して、防災活動を行う任意の団体です。
地域住民で構成する消防団や水防団は、あくまでも、消防組織法や水防法で定めた公共機関であるため、一線を画す存在となっています。
この自主防災組織の結成には、各地域を管轄する行政が決めた基準に基づき、組織作りをする必要があります。
組織作りは、町内会や自治会、マンションの管理組合など、既存の地域組織で結成の決議を採択し、設置を決めるのが主な手順のようです。
ある地域では、消防団員を除く、町民全員を会員とするところもあり、市や町を上げて、自主防災組織の結成を推奨しています。
お互いを良く知っている地域住民が、「自分たちの地域は自分たちで守る」という自覚や連帯感に基づいて、自主的に結成するため、日ごろからの防災活動も行いやすく、いざという時も、連携が取れた行動がとれると考えられます。
自主防災組織の役割
自主防災組織の役割をひとことで言うと、地域住民同士の連携による、きめ細やかな防災活動といえます。
実際に、火災等の突発事態が発生した場面では、当局への通報あるいは、消火器や消火栓を住民が自ら駆使して、初期消火や応急処置に努めます。
大規模災害においては、お互い連携して避難し、更には災害弱者の情報を把握し、安否確認について、必要な情報を消防に連絡したり、壊れた建物に閉じ込められた人を、身近な工具などを使用して、主体的に救出します。
あくまでも、住民の善意と、自主性に基づく活動であるため、自主防災組織の構成員は、特に公の責任や権利義務は発生しません。
行政から任意で、何らかの協力を要請されることもありますが、これを引き受ける義務はないとされます。
また、何も起こってない平時の活動においても、大切な役割があります。
火の用心の見回り、防災グッズの販売など、日ごろの火災の防止や、消火訓練、避難訓練を行うことは、期待されている役割です。
自主防災組織といっても、その活動を円滑に行うためには、組織の位置づけや体系、役割分担を明確にした、運営ルールを策定しておくことも大切です。
特に、災害発生時、慌てずに効果的な防災活動を行うため、あらかじめ、防災計画を立てておくことが必要です。
この防災計画は、市町村でも作成している地域防災計画と密接に関しているので、市町村、消防署などの、防災関連機関と十分に話し合い、適切な計画を立てる必要があります。
まとめ
今後の防災力の向上には、地域防災が不可欠だと国からも推進されています。
地域の人との関係が、疎遠になっているという課題もありますが、防災活動を通して、コミュニティの輪を広げていくということも、相乗効果として期待できそうです。
行政など公助の限界をカバーする意味でも、自主防災組織の輪を広げていきたいものです。
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