先人が残した思いとは?自然災害伝承碑の役割と意味を知ろう

先人が残した思いとは?自然災害伝承碑の役割と意味を知ろう防災

国土地理院は、2018年7月の西日本豪雨をきっかけに、自然災害伝承碑の地図への導入を検討しました。

過去の災害を伝える石碑があったにもかかわらず、住民の多くは、その内容を知らず、教訓が生かされなかった被災地もありました。

私たちが住むこの日本の地は、自然災害が多く、今後も増加するとされています。

先人たちが命を落としてまでも、私たちに残してくれたものは、たくさんあります。

そのことが刻まれた、石碑の意味を考えるきっかけとして、自然災害伝承碑について、勉強していきましょう。

自然災害伝承碑とは

宮城県南三陸町戸倉の五十鈴神社に、「東日本大震災記念碑」が建立されています。

2011年3月11日、東日本大震災による大津波の時、戸倉保育所、戸倉小学校の子供や教職員、地域住民が避難して災害から逃れました。

周りが津波にのまれている中、神社の境内だけポッカリと島のように浮かび上がったと言われています。

その碑にはこのように書かれています。

「未来の人々へ 地震があったら この地よりも高いところへ逃げること」

日本中を震撼させ、多くの死傷者を出した東日本大震災。

津波の災害を伝承するために、この碑は、私たちに多くのメッセージを送っています。

東日本大震災記念碑は、自然災害伝承碑の1つで、地震、津波、洪水、噴火といった大規模な自然災害の状況や教訓を、後世に伝え、残すために作られた災害碑です。

平成30年に7月に起こった、西日本豪雨災害の際、多くの犠牲者を出した広島県坂町にある、「自然災害碑」は、111年前に起きた大水害の被害を後世に伝えるために建立されました。

坂町では、今回の災害時に避難勧告が発令されましたが、この石碑のある地区の避難率は、まち全体の半分にとどまりました。

石碑が建立された111年前は、水害に対する備えや適切な避難行動など、住民の防災意識はとても高かったと考えられます。

しかし、現在の防災意識は、実際の避難行動から考えて、時代の経過とともに薄れていっていると、うかがい知ることができます。

自然災害の恐怖を後世へ伝えるため、防災意識を高く維持するため、国土交通省が考えた啓蒙活動を、次に紹介していきましょう。

導入のきっかけ

国土交通省にある特別機関である、国土地理院は、13年ぶりの2019年3月に、自然災害伝承碑の地図記号を制定しました。

web版の「地理院地図」、紙版の「2万5千分1地形図」への掲載を進めており、地理院地図には、2020年3月時点で、47都道府県163市区町村、526基の自然災害伝承碑が掲載されています。

国土地理院は、過去の災害の教訓伝承の重要性を考え、地図、測量分野からの貢献として、過去の自然災害の教訓を、地域の方々にわかりやすく伝えることで、住民の的確な防災行動に繋げ、災害による被害を軽減することを目指しています。

地理院地図から公開する、自然災害伝承碑の情報は、

・碑名
・災害名
・災害種別
・建立年
・所在地
・伝承内容
・写真

の7つから構成されています。

このような情報の活用方法としては、例えば、身近な災害履歴を学ぶための教材として、小中学校などで活用できます。

歩こう会などの、探訪コースを設定する際の目標物とすることで、自然と過去の災害情報に触れる機会を作ることができます。

また、自然災害伝承碑の情報を素材とし、児童生徒が現地調査を交えた体験型での防災地図の作成などにも活用できます。

まとめ

この地理院地図における、自然災害伝承碑の情報は、今後も追加され続けていきます。

その他にも、「土地の特徴を示した地図」「地水地形分類図」など、災害が発生した際に役立つ情報も掲載しています。

自然災害伝承碑への注目度に比例して、災害への意識も高くなるよう、地理院地図の活用を促していってもらいたい。

建築・不動産業界の新しい資格「自然災害調査士®」

自然災害調査士®
「自然災害調査士®」という資格を新設し、自然災害の被害を調査・鑑定するプロを育成しています。

昨今、頻繁に起こる自然災害による被害にまつわる問題を、専門的知識を持って適切な調査をする業務に従事する者(民間で活躍する自然災害家屋コンサルタント)としての位置づけを目的としております。 不動産会社、建築会社や工務店に勤務している方が多く取得しており、ご自身の業務に調査士の知識を役立てています。
防災
自然災害調査士®

コメント

タイトルとURLをコピーしました