政府は、「地域IoT実装推進ロードマップ」の実現に向け、地方公共団体のICT、IoT実装に関する、計画策定への総合的支援をスタートしています。
教育や医療、子育てや働き方においても、少しずつですが、具体的なサービスが取り入れられてきています。
防災の分野においても、Lアラートをはじめとするサービスが、運用されてきています。
このICT、IoTは、私たちの生活の質を高めるものであり、避けては通れない変化でもあります。
目まぐるしく変わっていくこのようなサービスにも向け、私たちも意識の向上に努めたいものです。
ここでは、防災分野を中心に、IoTを活用した防災対策を紹介していきます。
IoTを活用した防災対策について
通信技術の発達により、防災対策もどんどん進化しています。
ICT(information and communication technology)という、通信技術によって、「ヒト」の情報をデジタル化、共有化し、社会に反映させることを可能にしました。
更に今では、IoT時代が到来し、「モノ」が自動的にインターネットに繋がります。
政府も、IoTやビッグデータ、AI(人工知能)の活用を推進し、成長戦略やIT戦略、地方創成に向けて、動き出しています。
そのきっかけとなるのは、平成28年12月に公布・施工された「官民データ活用推進基本法」の成立ですが、都道府県による、都道府県官民データ活用推推進計画の策定、市町村による、市町村官民データ活用推進計画の策定が、求められています。
地域においても、IoT時代への対応が必要になってきており、様々なシステムの運用や普及が進められていくでしょう。
政府や地方自治体のIoT活用戦略、そして活用事例を詳しく紹介していきましょう。
政府のIoT活用戦略
幅広い効果を持つICTの中でも、特にIoTによる新しい価値創造が、成長の源泉となる時代へ突入する中、政府としてもIoTをはじめ、ビッグデータ、AIの活用を推進する、戦略が打ち出されています。
平成30年6月に閣議決定された、「未来投資戦略2018」それと同時に、「世界最先端デジタル国家創造宣言、官民データ活用推進基本計画」では、政府全体での成長戦略、IT戦略が明文化されています。
ICT、IoTの活用が、生産性の向上や新事業の創出、就業機会の増大へと繋がり、国民生活の向上及び、国民経済の健全な発展に寄与することが、期待されるという内容です。
その後、平成30年12年に、「まち・ひと・しごと創生基本方針2018改訂版」では、AIやIoTの技術革新において、これまでの生活や経済社会が大きく変わることが示されています。
具体的には、サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合させ、多様なニーズ、潜在的なニーズにきめ細かく対応した、モノやサービスを提供し、経済的な発展と社会課題の解決を両立し、質の高い生活を送ることを目指しています。
防災分野において、すでに運用が開始されているLアラートについて、解撤してみましょう。
Lアラートについて
Lアラートとは、自治体などが災害情報をはじめとする公共情報を、テレビ放送局を中心に、多様なメディアに一斉送信する共通基盤です。
Lアラートを利用することで、地域住民は災害情報を、効果的に素早く取得することが可能になります。
2018年7月に発生した西日本豪雨では、広島県や兵庫県、山口県、京都府といった地域で、避難所情報や避難勧告、指示情報が頻繁に発信されました。
Lアラートについては、発信する情報の多様化や、利用する情報の多様化、そして持続的運用方法などについて課題はあるものの、それらをクリアするために、更に進化していくことでしょう。
自治体のIoT活用事例
Lアラートの他にも、IoTを活用した防災対策がすでに行われています。
各地域のIoT活用事例を紹介していきましょう。
G空間地域防災システム
熊本県人吉市で実施した総務省委託事業において、「G空間地方防災システム」を実装しています。
「G空間防災システム」とは、地震や津波などによる広域災害や、緊急性を要する大規模災害に対して、地理空間情報とICTを連携させて構築する、最先端な防災システムです。
G空間防災システムと、地域連携を図ることにより、地域の災害に対する予測力・予防力・対応力を強化し、被害の縮小と復旧・復興までの、経済的・時間的ロスを最小化することが可能になります。
熊本人吉市の他にも、福岡県糸島市、佐賀県多久市においても、同様の検証を行い、更なる拡張を図っています。
G空間地域防災システムの構築や、IoTとAPI連携による導入を進めて、机上訓練や継続運用に向けた、支援体制の検討・立ち上げを行う予定です。
河川情報の監視
もう一つ、すでに運用しているサービスを紹介します。
NECプラットフォームズは、2020年6月17日に、河川の水位を遠隔で計測するIoTシステムを自治体向けに発売を開始しました。
最大30m先までの推移を検知できるセンサーを活用し、集めたデータはモバイル通信で、クラウドにアップロードし、水位、満水率、過去12時間の水位の変化などをグラフで可視化します。
それをネットで公開し、通常時は1時間おき、大雨の際は10分おきに更新します。
このシステムは、静岡県掛川市において事前実験を行っており、2019年10月の大型台風上陸時にも、リアルタイムに河川の水位を可視化できたと言います。
また、低消費電力設計のため、電池のみで約5年稼働します。
このように、自治体の環境などに適したサービスが展開し、地域の防災活動、地域住民への防災意識の向上へ貢献できるサービスが増えていくことでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
IoTは私たちの日常生活を便利にすることはもちろん、防災分野においてもどんどん進化しています。
このような最新のサービスを、各自治体が運用できるように環境を整備することが、最も大切な課題です。
私たち個人としても、このようなIoTサービスにも目を向け、防災意識を高く持って生活していきたいものです。
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