自然災害時にとるべき行動とは?事前に知っておくべき防災知識

自然災害時にとるべき行動とは?事前に知っておくべき防災知識防災

地震や津波などの自然災害は、時として突然、想像を超える力で襲ってきます。そんな時、私たちは瞬時にどう行動すべきか、考えることは出来るでしょうか?

まずは、自分の身の安全を守るために、その対策方法を知っておく必要があります。

これから紹介する、自然災害の時の避難行動では、自分の周りにどのような災害の危険が及ぶのかを知り、いざその時に、被害をできるだけ少なくするためにどう行動するかをまとめたものです。

どんな状況でも、自分で冷静な状況判断ができるよう、じっくり確認してもらいたいです。

自然災害時の適切な行動

自然災害時に、適切な行動を取るためには、日頃からその対策をしておくことで、被害を少なくすることができます。

そこで、自分の身の安全を守るために、一人ひとりが取り組む「自助」そのポイントを紹介していきます。

大地震の時の避難行動

2007年10月から、最大震度が5弱以上と予想される地震が発生した際、「緊急地震速報(警報)」が発令されるようになった。

それに伴い、緊急地震速報が発表されてから、強い揺れが到達するまでの時間が、数秒から数十秒になりました。

具体的な行動手順については、後述しますが、基本的なことをお伝えします。

大地震の際は、まず身の安全を確保することが最優先。

揺れが収まってから、落ち着いて初期消火や一緒にいる人の安全確認をします。

それから、隣近所と協力して、消火、救出活動などを行いましょう。

被害状況に応じて、自宅にとどまるか、避難所に向かうかを判断し、非難する場合は、ブレーカーを落とし、ガスの元栓を閉めること、そして、荷物は最小限に、両手が使えるように、歩いて移動します。

【大地震からの避難行動1】自宅にいるとき

在宅中に地震が発生した際、一番に気をつけることは、家具の転倒や落下です。

頑丈なテーブルの下に潜り、テーブルの足をしっかりと掴む。テーブルまでたどり着けないときは、タンスやソファの陰に身を寄せ、両手で頭を保護する。

睡眠中に地震が発生した際は、布団を頭からすっぽりとかぶるようにして、うつ伏せか横向きで身を守りましょう。建物が古い木造住宅の場合は、倒壊の恐れがあるので、屋外に逃げることが大切です。

【大地震からの避難行動2】勤務先にいるとき

勤務先、特にオフィス内で地震が起きた際、ビルの高さや築年数によって対応が変わってきます。

古いビルの場合は、倒壊する危険性があるので、すぐに屋外に避難することが大切です。比較的新しいビルの場合は免震、耐震構造のため倒壊の可能性は低いですが、高階層は低階層に比べて揺れが大きくなる点に注意が必要です。

オフィス内では、普段は重くて動かないコピー機、キャスター付きのOA機器など、大きな揺れでは縦横無尽に移動しますので、巻き込まれないようにしましょう。

また、大きなガラス窓で囲われているオフィスは、体を投げ出されてしまう可能性があります。窓際にいる人は、カバンなどで頭を守りながら、フロア中央へ移動し、できるだけ姿勢を低くして、固定してある家具類につかまりましょう。

揺れが収まってから、非情口から非常階段に出て、屋外に非難することが大切です。

【大地震からの避難行動3】路上にいるとき

屋内よりも、安全そうなイメージがある屋外ですが、周囲のほとんどが危険物と考えましょう。

まず住宅街で注意すべきは、ブロック塀や門柱、電柱、自動販売機などは倒れる可能性大です。そして、屋根瓦や切れた電線、エアコンの室外機も凶器と化します。できる限り安全なスペースを探して逃げ込むことが大切です。

一方、繁華街では、住宅街以上に落下物に、巻き込まれる可能性があります。高いビルや、銀行が入っているビルなど、耐震性に優れた建物に飛び込むこと。近くに地下街や地下鉄の入口があれば、そこに逃げ込んでもいいです。

もし、適当なところがない場合は、街路樹の根元や、車の陰などに身を寄せて頭を保護しよう。

【大地震からの避難行動4】商業施設にいるとき

デパートやスーパーなど、商業施設にいる時に地震が発生した場合、商品の陳列棚やショーウインドウから離れることがまずすべきことです。

商品の落下はもちろんですが、倒れた棚の下敷きにならないよう、棚から飛び出してきた商品によってケガをしないよう注意が必要です。

電化製品売り場や家具売り場では、商品が重いため、直撃されると命の危険性さえあります。かばんなどで、頭部をガードし、安全なスペースへ移動しましょう。

もし停電になっても、非常用照明が点灯するようになっているので慌てず、従業員の指示に従って行動することが大切です。

【大地震からの避難行動5】電車やバスにいるとき

電車に乗っている場合、震度3くらいまではあまり気づきません。震度5を超える地震で、緊急停止装置が作動します。

いつ地震が来て、急ブレーキがかかるかわからないので、普段から、つり革や手すりにつかまる習慣をつけておきましょう。異常を感じた場合は、手すりなどにつかまり、できる限り姿勢を低くし急ブレーキに備えましょう。

特に、地下鉄の線路脇には、高圧電線が設置されていることがあるので、決して停止したからといって、外に飛び出してはいけません。

バスに乗っている時に、揺れを感じた場合も、電車の場合と同様に、スリップや急ブレーキに備えましょう。特に、最前部左側、最後部中央の座席は、急ブレーキの際に前に投げ出される危険性が高いので注意しましょう。

停車後は、必ず乗務員、運転手の指示に従いお互い助け合いながら非難することが大切です。

【大地震からの避難行動6】駅にいるとき

駅の構内で地震が起こった場合、まず気をつけるべきは、線路への転落です。大きな揺れを感じたら、すぐに姿勢を低くして、ベンチや柱に身を寄せて、できるだけホームの中央に移動します。

万が一線路に転落した場合は、入ってくる電車に気をつけながら、ホーム下の空間に逃げ込みましょう。

そして、ラッシュ時などは、パニック状態に陥りやすいので、集団暴走に巻き込まれないように、揺れが収まっても、むやみに駆け出していかず、駅員の指示を待つことが一番です。

地下は、地上に比べるとはるかに揺れが小さいので、閉じ込められる危険性は低い可能性があります。また、非常口が60m間隔に設置されているので、焦らずに係員からの指示を待ちましょう。

【大地震からの避難行動6】車を運転しているとき

車を運転している場合、震度5以上の地震が起こった場合、ハンドルを取られ、タイヤがパンクしたような感覚になるといいます。

異常を感じたら、ハザードランプをつけ、減速しながら、道路の左側に停車しましょう。周囲の状況を確かめ、差し迫った危険がないようであれば、ひとまず車内にとどまりましょう。次に、カーラジオをつけ、地震の状況把握に努めます。

もし、車を乗り捨てて避難しなければいけない場合は、キーは付けたまま、車検証と貴重品を持って行きましょう。後々、緊急車両などが通行する際に、第三者によって移動できるようにするための配慮です。

【大地震からの避難行動7】遊園地にいるとき

遊園地のアトラクションは、建築基準法に基づいて、耐震構造となっており、安全上の様々な基準をクリアしています。

また、停電した場合も、アトラクションは非常電源やバッテリーで停止位置まで戻れるので安心です。更に、平坦な広場もあるので、園外に出るよりも安全な場合があります。

一番怖いのは、集団心理によるパニック事故です。出入り口が限定されているので、慌てて出口に走ると大事故につながります。

同行者とはぐれないようにし、係員の指示に従い避難しましょう。

【大地震からの避難行動8】海岸沿いにいるとき

海水浴や魚釣りなど、海岸沿いにいるときに地震が発生した場合、一番恐ろしいのは津波です。

津波は、たとえ震源地が遠くであっても、大地震であれば揺れは小さくても、大きな津波が襲うことがあります。

多くの海岸には、スピーカーが設置されてはいますが、人気が少ない場所では、情報が届きにくいので、ラジオなどを携帯して、常に情報を入手できるようにしておきたい。

津波警報などの発表で、避難勧告や指示が発令された場合は、消防署員や監視員らの指示に従って、即刻高台に避難することです。

自分の判断で、引き潮を待ったり大波が見えてから逃げようとしては避難が間に合わないこともあるので、すぐに、「遠いところ」よりも「高いところ」を目指しましょう。

また、津波は第一波が最大とは限らず、繰り返し何度も来襲します。

水位が下がったように見えていても、いつ大きな波が来るかわからないので、津波注意報や警報が解除されるまで、避難所にとどまるようにしましょう。

【大地震からの避難行動9】山にいるとき

山間部で地震に遭遇した場合、気をつけるべきは、落石や土砂崩れです。特に、「山津波」という土石流が危険性が高く、大量の土砂を含んだ濁流が、地震の衝撃で流れ、山腹を削って、猛烈な速度で下流します。

もし、山中で地震が起きたり、山奥から轟音が響いてきたら、土石流や崖崩れが起こったと考えられるので、岩場や渓谷からはすぐに避難しなくてはいけません。

土石流は原則的に、谷筋を流れていくので、ふもとへ降りるのはなく、谷筋に対して横方向へ逃げ、尾根に駆け上がることが大切です。

近年は、道路開発などで地形が変形し、崖崩れや地滑りなどが起こりやすくなっています。さらに、長雨や台風の後など、地震がなくても、事故が起こりやすいので注意が必要です。

大津波の時の避難行動

津波の恐ろしさは、東日本大震災で、誰もが思い知ったはずですが、年月の経過とともに、その恐ろしさも希薄になっているのは、誰もが感じていることです。

大津波の場合は、地震が起きたらともかく海岸線から避難することが大切です。

状況判断

津波からは、とにかく逃げるしかありません。津波が発生しても、迅速な対応を取りさえすれば被害は最小限に軽減することができます。

津波は引き潮から始まる、津波は第一波が最大である、などといった誤解で、海岸へ確認に行ったり、一度津波が来たから安心したりと、自分の判断だけで行動することは禁物だと心得ておきたい。

人間には、「正常性バイアス」という心理が働くといいます。

これは、異常事態が起きても、それを正常の範囲内と捉え、自分だけは大丈夫という心理状態です。

これは、普段は大切な人間の心理状態ですが、これが災害時の避難行動を送らせる大きな原因の一つと考えられえています。

この正常性バイアスを抑え、適切な行動をとるには、「津波警報が出たらただちに避難する」という心構えを持つことが大切です。このしっかりとした心構えこそが、曖昧な判断をシャットアウトする最適な方法だと言えます。

避難場所と避難方法

津波発生の可能性がある場合、急いで海岸や河口から離れ、高い場所へ避難しましょう。

その際、「遠いところ」より「高いところ」そして、「一度離れたら絶対に戻らないこと」が大切です。

また、津波による船舶などの漂流物や津波自体のエネルギーから少しでも逃れるため、海岸に面する建物よりも2列目以降の建物に避難しましょう。

また、万が一津波にのみ込まれた場合、固いものに叩きつけられたり、負傷してしまうことも多いため、岩場や防波堤などから離れることも大切です。

豪雨や台風の時の避難行動

台風や豪雨による災害は、家屋の浸水だけでなく、土石流や崖崩れの被害も恐ろしい自然災害のひとつです。避難勧告が出る前でも、前兆を感じたら自主避難することが大切です。

土砂災害の前兆を感じたら

土砂災害の前兆を感じたら、避難勧告や指示が出る前であっても、自主的に非難することが大切です。その際、単独でも行動は避け、隣近所とグループで行動することが望ましいです。

冠水した道路は、蓋が外れたマンホールや側溝に転落する危険性があるので、杖や棒で足下を確認しながら進みましょう。

土石流などの前兆をまとめているので確認しておきましょう。

「土石流」

・急に川の水が濁り、流木が混ざり始める雨が続いていても、水位が下がってくる
・山鳴りが聞こえる

「地滑り」

・沢や井戸水が濁る
・山の斜面に地割れができる
・山の斜面から水が噴き出す

「崖崩れ」

・崖に複数の割れ目が見える
・崖から水が湧き出すのが見える
・崖から小石が落ちてくる

竜巻が近づいてきたら

竜巻が迫ってきたら、できるだけ頑丈そうな建物の中に避難しましょう。車庫や物置、プレハブなどは、壊れたり、飛ばされる危険性があるので、避難場所にはしてはいけません。

2階より1階、1階より地下室へ移動することを心がけましょう。雨戸やシャッターを閉め、カーテンを引いて窓からは離れる、体は伏せ、両腕で頭と首を守って竜巻が過ぎるのを待ちましょう。

「竜巻注意情報」が、発表されたときはわかりやすいですが、周囲が急に暗くなったり、積乱雲の近づく兆しが見えると、竜巻が発生する危険性があるのでその時は、早めの避難開始を意識しましょう。

雷の時の避難行動

雷の被害を避ける方法は、とにかく建物や、屋根のある乗り物に逃げ込むこと。近くにそれらがない場合に備え、身を守る術を知っておきましょう。

【雷からの避難行動1】家の中にいるとき

雷を避ける上で安全な場所は、建物や自動車、バス、列車の中。これらの中に逃げ込めば、まず安全と考えていいでしょう。

しかし、避雷針がない建物の場合は、雷の高電圧が、電気配線を伝わってくる可能性があるので、天井、壁、柱から、1m以上離れたところで、低い姿勢を保ちましょう。

【雷からの避難行動2】外にいるとき

近くに安全な場所がない場合は、高さ5m以上の高い物体の「保護範囲内」に、避難しましょう。

電柱など高さ5mから30mの物体の場合、物体の頂点を45度以上の角度で見上げ4m以上離れます。また、送電線の鉄塔や煙突、高層建築物など30m以上の物体の場合は、物体から4m以上30m以内の位置が保護範囲となります。

建造物が近くにない野外などでは、乾いた窪地や溝など、なるべく低い場所に移動しましょう。樹林帯は危険性が高いため、せめて木がまばらな箇所を選び、できるだけ木から離れましょう。

避難の際は、傘をささず、身を低くして移動します。アクセサリーなどの金属類はそのまま身につけていてもかまいませんので、とにかく早い避難が先決です。

雷鳴や雷光がなくなったと思っても、すぐに移動せず、20分以上はそのまま避難場所で様子を見たほうがいいでしょう。

火山の時の避難行動

火山が噴火した際は、熱風だけでなく、火砕物が空から降ってきます。頑丈な靴、長袖長ズボンの避難ウエアは普段から準備しておきましょう。

外に非難する時の注意点

避難時は、熱風や降下火砕物から身を守るために、長袖長ズボン、ジャンパーなどの上着を着て、隕石に備えて頭にはヘルメットをかぶり、目、鼻、口に火山灰が入らないように、ゴーグルやマスクを着用します。

また、火山灰や泥水の中を歩いても、滑らないように、頑丈で歩きやすい靴を履きましょう。危険エリアに住む人は、このような避難ウエアを常備しておくことをおすすめします。

火山の噴火は、気象庁が事前に察知し、自治体が避難勧告、指示を出しますので、指定された避難場所に、速やかに避難しましょう。

原則的に、車での避難は避け、ハザードマップ上の危険範囲を避け、山地では尾根筋を通り、火山降下物の影響を受けにくい、風上側を選びましょう。

まとめ

自然災害ごとに、私たちが取るべき行動を紹介しました。

はじめにお伝えしたとおり、自然災害に対する備えは、絶対これで大丈夫、というものはありません。

事前に避難ウエアを準備したり、避難場所を確認したりすることは、今できる最低限の備えです。

過去の教訓を生かし、何も起こっていない今だからこそ、準備できることは行動に移しておきましょう。

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「自然災害調査士®」という資格を新設し、自然災害の被害を調査・鑑定するプロを育成しています。

昨今、頻繁に起こる自然災害による被害にまつわる問題を、専門的知識を持って適切な調査をする業務に従事する者(民間で活躍する自然災害家屋コンサルタント)としての位置づけを目的としております。 不動産会社、建築会社や工務店に勤務している方が多く取得しており、ご自身の業務に調査士の知識を役立てています。
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