近年、地震や豪雨、台風などの、自然災害が多く発生しており、日本各地で様々な影響が出ています。
災害発生時は、人命救助やボランティア活動の様子が、ニュースなどに出てきますが、その中でも、災害が起こった後に出る、ゴミについての問題について、今回はお伝えしていきましょう。
実際に、災害の影響で発生したごみの処理について、困ったかもいるかもしれません。
災害によって出てきた廃棄物は、一般廃棄物、産業廃棄物、どちらに該当するのか?
そのような基本的なことから、解説していきます。
災害廃棄物とは?
災害時発生する廃棄物として、大きく次の4つが挙げられます。
・災害廃棄物
災害によって家屋などが壊れたときに出る、木くずやブロックコンクリート、鉄骨や鉄筋の金属くず、また、自宅内にあった畳や布団などの、被災したものを片付ける際に排出されるゴミをいいます。
・生活ゴミ
家庭から出される生活ゴミをいいます。
・避難所ゴミ
避難所から排出されるゴミで、段ボールや包装容器、衣類などをいいます。
・し尿
仮設トイレなどからの、くみ取りし尿、災害に伴って便槽に流入した汚水をいいます。
これらの災害廃棄物は、一般廃棄物に該当します。
そして、その処理責任は市町村にあります。
よく間違われる産業廃棄物とは、事業活動から出たゴミをいいますので、災害は事業ではないという理由から、一般廃棄物という認識になります。
災害廃棄物の取り扱い
災害廃棄物は、一般廃棄物に該当し、処理責任は市町村にあるとお伝えしました。
しかしながら、災害の規模にもよりますが、ニュースなどでも見ている通り、災害廃棄物は日常的に発生する一般廃棄物と比べ、膨大な量になり、さらに分別ができず、土砂が混ざっているなど、処理に手間がかかるものが多いです。
そのため、一般廃棄物の処理責任を負う、市町村だけでは到底処理できないという問題が起こってきます。
そのような場合は、全国の廃棄物処理施設で処理したり、仮設処理施設の設置など、国、各都道府県、市町村、事業者の間で、連携を取るという対策を取っています。
このような対策は、平時の備えとしてとても大切で、災害廃棄物の処理については、災害廃棄物処理計画として策定されています。
この処理計画では、災害が発生した際に、スムーズな廃棄処理活動ができるよう、組織体制の整備と指揮命令系統の明確化、そして、国や各都道府県への協力や支援体制を整備するといった内容が盛り込まれています。
また、災害が起こった際に、平時で使用していた一般廃棄物処理施設を、どう運用していくか、必要な人員や、車両機器など、緊急出動できる体制をどう整備するかも、細かく決められています。
災害廃棄物と法律
この災害廃棄物処理計画もそうですが、災害時に、円滑かつ迅速に廃棄物の処理ができるように、法律によって災害時の対策が定められています。
その法律は、廃棄物処理法と災害対策基本法です。
普段の適用は全く違う分野ですが、災害発生時には、この2つの法律が相互は関するような形で、災害時の対策を定めています。
環境庁のホームページでは、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律及び災害対策基本法の一部を改正する法律について」ということで、法改定の度にその内容がまとめられています。
近年、増加する自然災害に伴い、災害時の対策が強化される傾向にあるため、2つの法律の改定が行われています。
先ほど紹介した、災害廃棄物処理計画も、国や都道府県、市町村が日ごろから災害に対する危機感を持ち、迅速かつ円滑に処理する対策を、法律の中で策定しているものです。
さらに、最近では市町村だけでなく、一般企業においても、自然災害、大火災などの緊急事態に遭遇した場合、損害を最小限にとどめつつ、早期復旧を可能にする計画が求められています。
このような災害に対する意識が、身近になってくると、おのずと災害廃棄物に対する意識も高まるでしょう。
最終的には、私たち個人個人にできることは何か考えて、日ごろから行動をしておくことが必要です。
この災害廃棄物について言うと、災害時のゴミを出さない工夫が必要です。
押し入れや物置にしまい込んでいる物、使わないブラウン管テレビ、古いパソコン等、不要なものは普段から整理しておくことで、災害廃棄物を減らすことに繋がります。
そして何より、災害発生時の情報収集はとても重要です。ゴミ収集の情報はどこで聞くことができるのか、日ごろから知っておくと安心でしょう。
まとめ
災害時の備えとして、私たちができることはたくさんあります。
一般的には、非常食や水の確保、ラジオやポータブルトイレの準備など、災害が起きたときに身を守る対策が知られています。
今回紹介した災害廃棄物については、あまり知られていない対策かもしれません。
これをきっかけに、災害廃棄物を出さないように、という観点からも、対策を考えてみてはいかがでしょうか。
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