災害弱者とは?過去の大災害から見る災害時の対策を紹介します

災害弱者とは?過去の大災害から見る災害時の対策を紹介します防災

日本では、過去の大きな災害を経験し、その経験から多くの課題を見つけ出しました。

そして、これから起こるであろう災害に対して様々な対策を講じています。

その中の一つに、災害弱者へどのような援助をしていくべきか、ひとつの重要なポイントとなっています。

災害弱者とは、どういう人を指すのか、どのような課題があるのかを、解説していきますので、自分自身がそのような人に、どのような援助ができるのかを考えながら、読み進めていきましょう。

災害弱者とは

災害弱者とは、障害者や高齢者、乳幼児など、災害時に比較的危険にさらされやすい人を指す言葉です。

災害弱者の定義には、様々ありますが、行政上は、「災害時要支援者」と、呼称されています。

日本赤十字社が発行している、「災害時要援護者対策ガイドライン」において、具体的にどのような人が、災害弱者とされるかありますので、ご紹介します。

・心身障害者(肢体不自由者、知的障害者、内部障害者、視覚、聴覚障害者)
・認知症や体力的に衰えのある高齢者
・日常的には健常者であっても理解力や判断力の乏しい乳幼児
・日本語の理解が十分でない外国人
・一時的な行動支障を追っている妊婦や傷病者

災害弱者は、災害時に一般の人々と同じような危険回避行動や避難高度を行うことができず、避難生活、生活の再建、復旧活動において、他者による援護を必要とする人々です。

先に紹介した人々の他にも、地理に疎い旅行者、観光客、外国人も、この災害弱者に含めて考えることがあります。

この、災害弱者が持つ支障は様々で、災害の局面や時期によって、必要とする援護が異なり、きめ細かな対策が求められています。

次に、災害弱者がどのような場面で、援護が必要になるのか、解説していきましょう。

災害弱者が災害時に困ること

実際に災害時に、どのような配慮が必要となるのか、災害弱者それぞれの事情によって異なりますが、避難前、避難時、避難後の、3つの時間軸で解説していきます。

避難前

災害が起来たことを知らせる防災無線、音声のみのテレビ放映、これらのメディアで、必要な情報収集ができなかったという、聴覚障害者が多くいたことが、過去の東日本大震災の記録からわかります。

仮に、その時に手話放送があったとしても、全ての聴覚障害者が手話ができるとも限らず、情報の収集が困難な状況でした。

また、外国人に関しては、地域国際化推進検討委員会が、東日本大震災で見えた課題を報告しており、「十分な日本語力を有していない外国人にとって、地震情報や行政用語は、専門用語が多く理解が難しい」とされています。

避難時

2018年の西日本豪雨で、被害の多かった、岡山、広島、愛媛県において、自治体の避難指示に従って、自宅から避難したと確認された、視覚障害者はごく少数だったといいます。

避難しなかった理由は、「危険性が低いと判断した」「周囲の補助がないまま外に出るのは困難」という声がありました。

災害が発生し、仮に避難情報を取得したとしても、災害弱者の中には、単身での避難時の障害を考えて、行動をためらう人がいるということも、考えておかねばなりません。

避難後

被災者が寝泊まりをする、避難所においては、全ての人が不自由な生活を余儀なくされます。

災害弱者の人々にとっては、直面する不自由さが、より多くあることを知っておく必要があります。

避難場所の環境に対応できなかったり、個々の事情により、トイレが使用できなかったりすること、また、情報を入手しにくい、理解しにくいことも上げられます。

災害弱者のなかで、障害者の人々の他にも、外国人に見られる事例として、言葉の壁があります。

普段の生活においては、日本語の使用に何の支障もなく、むしろ支援の担い手となる場合もありますが、災害時に使用された言葉、「給水」「物資配給」「罹災証明」などは、言葉へのなじみもなく、理解できなかったという声もあります。

また、避難所の存在を知らなかったり、知っていても、日本語対応のみの避難所生活に、ストレスを感じたりと、サービス開始前に避難所を去った、外国人もいたようです。

災害時の対策

災害弱者が、災害時に安全を確保するためには、本人が行う対策だけでなく、行政や地域の支援が必要となります。

特に、地域にはどのような危険があり、自らの命を守り、地域で助け合うためにはどうすれがいいかを、普段から、情報伝達しておく必要があります。

地震などの災害についての基礎知識、防災行動、洪水や地震、津波のハザードマップ、地域に防災マップ、避難所マップ、これらは地域を上げて行う対策の具体例です。

災害時にはこのような情報がとても重要になってきますが、情報をうまく活用できない災害弱者、特に、身体的に支援が必要な身体要支援者、視聴覚障害により、情報を十分に把握できない情報要支援者、そして、外国人の人々とそれぞれがどうこのような情報を活用していくべきか、その対策について紹介していきます。

身体要支援者の対策

まず、災害が起きる前から、災害が起きても医療を受けることができるように、通院先、服薬内容などの把握をしておくことが必要です。

人工透析者や、特別な疾患を持っている場合は、災害時でも、スムーズに医療を受けることができるように、透析条件が載っている手帳などの活用も検討しておくべきでしょう。

また、避難する必要が発生した場合、家族だけでは、避難させることができないこともあるため、隣近所や保健所などに、いざという時の援護を依頼しておくことも必要です。

情報要支援者への対策

視覚、聴覚障害者は、危険を知らせる情報を受け取ることができず、また、情報を受け取ったとしても、その後の、適切な行動をとることができなかったり、または困難であることから、災害時に死傷する危険が高いと言われます。

その対策として、視覚障害者には、「防災行政無線」を各戸に設置したり、コミュニティFMを活用したり、電話を使った音声ガイダンスなどを充実する必要があります。

聴覚障害者宅にも、FAXや携帯メールなどで、市町村や福祉保健部門などから、お知らせが伝達されるようになっています。

これからも、広報誌や文字放送だけでなく、インターネットを活用した、情報提供も進化していくことでしょう。

外国人への対策

外国人の中には、日本の災害について、知識が不足している人も多くいます。

そこで、地方公共団体は、各地域における災害危険と防災の基本的知識を記載した、外国人向け防災パンフレットなどを作成し、効果的に配布しています。

また、広域避難場所や避難標識などを、多言語及び簡単な日本語、ローマ字で表記するという必要もあります。

その他、防災情報マップも、多言語による制作が求められるでしょう。

まとめ

災害弱者が災害に遭っても、みんなで守っていくという取り組みは、これからますます進められるでしょう。

しかし、国や地方自治体が進める、いわば「公助」にも限界があります。

災害弱者の家族や、日ごろ援助をしている身近な人との、「共助」を強化するということが、これからの課題になりそうです。

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