変わりゆく脅威にどう立ち向かう?災害ロボットの可能性を知ろう

変わりゆく脅威にどう立ち向かう?災害ロボットの可能性を知ろう自然災害

近年の自然災害による、日本各地の被害状況を見れば、これから先、どのような災害が日本を襲ってくるのか不安になります。

大地震や土砂崩れなどの発生時には、一刻も早く人命を救助する必要があります。

そのためには、まず直ちに災害現場へ行き、状況を把握したうえで、救助を行う必要があります。

しかし、がれきの下など、人が入っていけないという悪状況の中では、私たち人間の力は無力に等しく、そういう状況への対策を打つ必要があります。

そんな中、災害ロボットの開発が進められ、人間にはできないような救助作業や、調査を行うことが可能になってきています。

この災害ロボット開発の背景や、今どのようなことが災害ロボットにできるのか、そして今後の展望を紹介したい。

今後も発生する自然災害に対して、大いに期待できるものでしょう。

災害ロボットの必要性

そもそも災害ロボットが開発されたきっかけは、阪神淡路大震災により、ロボット機器による被災者の救済の可能性が、研究者の間で、活発に議論されるようになったからだと言われています。

当時は、レスキューロボットという名前で、開発が進められていたようですが、それまで災害が発生し、迅速に要救護者を発見、救出するためには、災害救助犬などの存在が大きかったようです。

しかし、育成に時間とコストが掛かりますし、瓦礫の除去などは災害救助犬ではできないなど、難しい面が多々存在していまいた。

被災者発見のためのロボット技術に加え、人間の救助チームだけではカバーしきれない部分も、ロボット開発で可能にすべく、その研究が進められました。

さらに、2011年3月11日の福島第一原発事故後、危険個所での作業者の被ばくリスクを減らすために、原子力災害ロボットを導入、そして運用することの重要性が再認識されました。

災害ロボットの種類

災害ロボットと言っても、陸上探査用、水中探査用、火災用、情報収集用などと、その用途に応じて様々で、今では企業内においても研究開発が進んでいます。

陸上探査用ロボット

日本における災害ロボットの第一人者ともいえる、東北大学の田所教授は、数多くの災害ロボットの開発で有名です。

飛行ロボット、建設ロボット、サイバー救助犬、蛇型ロボットなど、災害救助や消火用のロボットがある中、東日本大震災の際、災害用ロボット「Quince(クインス)」を、福島第一原発の建屋内調査に投入したことで注目を集めました。

このQuinceは、優れた運動性能と計測機能により、人間に変わって災害現場をはじめとした、危険な環境の情報収集を担うことで、円滑な救助活動の実現と、救助に従事する人間の二次災害を防止するという目的で使われている、陸上探査用ロボットです。

階段や不整地と呼ばれる、起伏の激しい地形においても、その機動性で十分な活動が可能となっています。

また、付加機能として、操縦者のスキル不足を補う操縦支援や、環境の計測に基づく、探査環境の三次元地図の構築に関する研究も進んでいます。

水中探査用ロボット

災害時の要被災者の探索は、陸上だけに留まらず、水中においてもその必要性は十分にあります。

水中探査ロボットとして有名なのは、東京工業大学の広瀬教授らが開発した、「Anchor Diver 3」でしょう。

この災害ロボットは、東京臨海救助隊による、水中探査活動の支援を目的として開発されましたが、実際に海中での遺体の捜索を行ったりと、すでに多くの実績もあります。

また、日本の企業においても、このようなロボットの研究も進められており、被災地の水中調査や、漁場の瓦礫や地震による海底地形の変化、水質資源への影響などの調査も行われています。

原子力災害ロボット

原子力災害ロボットについては、福島第一原発事故後において、原発敷地内に投入され、瓦礫撤去作業や、調査などを行っていることは、多くの人が知っているところでしょう。

原子力災害ロボットは、原発緊急時のための原子力災害用、通常の検査、メンテナンス用、特殊目的用と、いくつかの種類があり、通常の検査用は1970年代以降に開発され、配管溶接部の検査や、人が近づきにくい場所の補修作業などで、災害ロボットとしては早くから活躍していたようです。

災害ロボットの今後

ご存じの通り、日本は自然災害の多い国です。

災害ロボット研究の始まりは、阪神淡路大震災とお伝えしたように、災害が起きるたびに、災害ロボットは活用、改良され進化を続けています。

最近は、都市化も進み、地下や高層ビルなどでの都市災害、更には有害物質を用いたテロなどの脅威も指摘されています。

災害の種類も、自然災害だけに留まらず多岐にわたってきました。

倒壊した家屋や化学物質が充満した空間のように、人が立ち入ることが困難な場所での救出活動や、情報収集を担うロボットの普及が、今後はさらに期待されるでしょう。

ロボットの技術面の課題も多くありますが、それを操縦する側のスキルの問題、災害もその発生頻度は増えてはいますが、ロボットを維持するためのコストの問題もあります。

防災の動きも、自治体ごとの取り組みが盛んになっていることから、災害ロボットの保有も、自治単位となると更に問題は多くなりそうです。

しかし、このような課題を一つ一つクリアしていくことこそが、ロボット大国である日本のプライド、そして日本の力なのかもしれません。

まとめ

災害ロボットを日常の経済活動の中でどうやって役立てていくべきか、東北大学の田所教授はその重要性を説いています。

それはつまりは、私たちの身近に、災害ロボットが存在する世の中になることを指しています。

災害ロボットの技術革新はもちろん、共存するためにどうツール化していくか、今後の変化に期待したい。

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