全国の動物避難所の場所が一目でわかる、「全国動物避難所マップ」は、21年8月までの開設を目指しています。
この発起人である奥田順之さんは、「ペットと人の命を守りたい」と多くの関係者とディスカッションを重ね、クラウドファンディングを始めました。
過去の災害、そして何よりこれからの災害に対して、人の命を守ることはもちろん、ペットの命も大切にするための、この活動をぜひとも知っていただき、防災の1つの形として応援していただきたい。
全国動物避難所マップとは
災害時における、ペットの救護対策を巡って、環境省は2013年にガイドラインを策定し、原則、飼い主とペットが、安全な場所まで「同行避難」すると定めています。
一方、動物が苦手な避難所への気配りも求めており、避難所の細かい運営は、自治体に任せられているのが現状です。
過去の災害では、ペットの受入れができない避難所や、ペット連れの被災者が周囲に遠慮して、避難所に入ることができず、車中泊や壊れた自宅での、軒先避難を選ぶケースも多かったようです。
しかしコロナ禍において、スペース確保が求められ、ペットの居場所確保が困難な避難所もあるようです。
これらの課題を解決するために、「ペットと人が分かれて避難できれば、双方の安全が確保される」そんなシンプルな発想から生まれた、「全国動物避難所マップ」のコンセプトは、
日ごろからペットと接する事業所を解説し、そこに食料などを備蓄しておけば、動物避難所として活用でき、更に、平時にはペットの防災啓発拠点として地域住民の相談に応じることができる、というものです。
これまでの活動
この全国動物避難所の開設を目指している、NPO法人「人と動物の共生センター」は、日ごろからペットと接する事業所なら、食料などを備蓄しておけば、動物避難所として活用できると考えました。
また平時には、防災啓発拠点として、地域住民の相談に応じることを想定しています。
NPO法人人と動物の共生センターは、岐阜県岐阜神に拠点を置くNPO法人です。
全国で9人しかいない、「獣医行動診療科認定」である獣医師の奥田順之さんを中心に、飼い主が学ぶ犬のしつけ教室、問題行動の治療を専門に行う、ぎふ動物行動クリニックの運営、動物福祉・共生に関するセミナー運営などを行っています。
ペット防災に関する活動は、2016年ごろから開始し、2018年には、清流の国ぎふ防災減災センターの高木朗義教授監修のもと、飼い主向けの減災力向上ワークシートである、「減災教室ペット編」を開発し、行政機関やペットショップと連携した配布活動を行ってきました。
動物避難所初開設
2020年7月、岐阜県でも被害が出た豪雨災害の際、事務所隣の学区に避難準備情報が出たことを受け、動物避難所の初開設を行いました。
幸い避難勧告が出ることはなく、動物の預かりに関する相談はなかったものの、動物避難所開設の情報は、Facebookやtwitterで拡散され、1000以上のシェアやツリイートがありました。
この反響を受け、動物避難所のニーズが全国にあると感じ、一日も早く動物避難所を全国に設置すべきと確信したとのことです。
8月17日には、全国のペット防災に関心のある、事業者、研究者、専門家など、総勢40名を超える方々とディスカッションをするに至りました。
動物避難所は、やろうと思えばできる取組みで、足りないのは、動物避難所に取り組むための仕組だと感じたそうです。
その仕組みとして、クラウドファンディングを立ち上げ、全国の動物避難所を網羅したWEBサイト「全国動物避難所マップ」の開発をする運びになりました。
クラウドファンディングの概要
では、現在開催中の、クラウドファンディングの概要を説明しましょう。
まず、2021年の春に開設を目指し、以下のスケジュールで進んでいます。
2020年10月~12月
動物避難所マップサイト設計図づくり
2021年 1月~ 6月
WEB会社による、動物避難所マップサイトの開発
2021年 5月~ 6月
動物避難所マップ登録者募集・説明会
2021年 6月~ 7月 動物避難所マップサイトオープン→稼働
目標の400万円の使い道は以下の通りです。
うちトコ避難所マップサイト開発費用220万円
うちトコ避難所マップサイト運営費用60万円
うちトコ避難所マップサイト事務局委託費用60万円
動物避難所モデルケース作りのための費用60万円
目標金額に達しなかった場合の寄付金は、開発費用を最優先し、まず、サイト運営費用へ、次に、事務局委託費用へ、そして、モデルケース作りの順に活用します。
目標以上に寄付金が集まった場合は、広報面を強化し、より多くの事業者に、本プロフェクトに参画してもらうようにします。
まとめ
動物避難所マップに参加する事業所は、平時は、飼い主に対する啓蒙の拠点となります。
飼い主が日ごろから災害への意識を持ち、避難行動を計画していれば、人も動物も守ることが可能です。2022年3月までに全国100カ所を目標に掲げている、この全国動物避難所マップですが、その先にはペットだけでなく、あらゆる命を守るための避難行動を促す拠点となりうるでしょう。
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