内閣府は平成30年11月より、準天頂衛星システム「みちびき」の、衛星安否確認システム(Q-ANPI)の運用を開始し、Q-ANPIに必要な機材を自治体へ貸与することで、試行的導入を推進してきました。
そして今年から、更なる利用促進を目指して、機能拡張による実証・調査を行うことが決まりました。
スマートフォンアプリなどとの連携により、避難所以外の住宅やビルにおける安否情報を、可能な限り収集する機能を開発予定といいます。
さらに、限られた伝送容量での情報収集も、実現可能かどうか調査をしていきます。
私たちの想像以上に進化している、日本の防災システムを、ぜひ一緒に学んでいきましょう。
準天頂衛星システム(みちびき)の概要
みちびきとは、準天頂軌道の衛星が主体となって構成されている、日本の衛星測位システムのことを言います。
衛星測位システムとは、衛星からの電波によって、位置情報を計算するシステムをさし、米国のGPSがよく知られています。
みちびきは、日本版GPSと呼ぶこともあります。
衛星測位は、4機以上の衛星で可能ですが、安定した位置情報を得るためには、より多くの衛星が見えることが望ましいようです。
2018年11月から、みちびきは4機体制で運用を開始しており、このうち3機は、アジア・オセアニア地域の各地点では、常時見えることができます。
みちびきは、GPSと一体で利用でき、安定した高精度測位を行うことを可能とする衛星数を確保することができます。
GPSと互換性のあるみちびきは、より安価に受信機を調達することができ、地理空間情報を高度に活用した位置情報ビジネスの発展が期待されています。
みちびきの必要性
この衛星測位サービスは、カーナビやスマートフォン、携帯電話がそれにあたり、利用は拡大傾向にあります。
今ではこの技術は、測量や防災の分野においても活用されています。
しかし、これまでの衛星測位サービスは、アメリカが運用するGPS衛星を利用していたため、視界に入る衛星数が少ないなどの理由で、安定したサービスが受けられずにいました。
先ほどお伝えした通り、2018年11月にみちびきの運用をスタートしたことで、衛星測位のサービス環境が、劇的に進化しました。
今では、みちびきは日本と経度の近い、アジア、オセアニア地域でも利用でき、これらの地域の国々にも、利用拡大を進めている状況です。
みちびきの開発まで
みちびきは、2010年9月11日に初号機を打ち上げ、当初はJAXAで運用を行っていました。
その後、2011年9月の閣議において、4機体制を整備し、7機体制を目指すことが決定され、2013年1月の「宇宙基本計画」においても、重要な政策と位置付けられてきました。
その後政府は、準天頂軌道2機、静止軌道1機の開発を決定し、2017年に打ち上げを行い、2018年11月から4機体制での運用をスタートしました。
2015年1月に策定された新しい「宇宙基本計画」では、2023年度をめどに、持続測位可能な7機体制での運用を開始するとされています。
衛星安否確認サービス(Q-ANPI)について
このみちびきを活用した、高精度3次元位置情報を用いることで、今後のスマート社会の実現へ向けた、革新的なサービスや、新たな産業を生み出す可能性が広がっています。
主要産業とされる、農業分野、船舶海洋分野、自動車分野、物流分野、建機・工機分野、そして防災分野において、各種サービスを活用した、実証実験、実証事業が行われています。
Q-ANPI既存のサービス
Q-ANPIを活用して、すでに行われているサービスとして、災害時の情報収集があります。
災害時において、みちびきを経由して避難所の位置や、開設の情報及び、避難者数や避難所の状況を通知することで、被災状況や孤立した状況の把握など、救助活動に不可な情報を収集できます。
これらの情報は、地上の通信網が途絶され、万が一孤立した場合にも、最後の通信手段として使用できるほか、被災した近親者が、電話番号で検索し避難者の避難状況を確認することで、安心安全に繋がります。
Q-ANPI今後のサービス
Q-ANPIのさらなる利用促進を目指して、内閣府では、機能拡張による実証・調査を行うことを決定しました。
スマートフォンアプリや通信機能と連携させ、避難所以外の住宅地や、オフィスビルなどにおける避難者の安否情報を、スマートフォンを経由して、リレー形式で可能な範囲で週数する機能を開発する予定です。
また、非常に限られた伝送容量の中で、道路や橋などのインフラの破損状況についても、収集するシステムの実現可能性を調査するようです。
調査期間は、令和3年1月から令和9年1月末を予定し、参加自治体については、必要な機材約360台を無料提供します。
まとめ
私たちが知らないところで、国は最先端の技術を活かし、防災分野の整備を行っていることが分かりました。
更に、着々と進んでいるサービスの向上へ向けて、私たちが住む自治体においても、その研究への協力要請が来ていることは、とても心強いことでしょう。
私たちも一人一人が、防災意識を高く持つことはもちろん、新しいサービスにも関心をもって、生活していきたいものです。
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