復旧が長期化する複合災害。過去の事例から学べる4つの対策を紹介!

復旧が長期化する複合災害。過去の事例から学べる4つの対策を紹介!自然災害

そもそも複合災害とは、複数の災害が、同時またはほぼ同時に発生することを言います。

良くある事例としては、地震が発生した後に、津波が来ることは誰もが知っていると思いますが、この他にも、風水害から土砂災害が発生するなど、複合災害の組み合わせは多くあります。

この複合災害は発生すると、その災害対応を行う際の難易度も高くなります。

しかし、過去の事例から、これから起こりうる災害に対して、策を講じる必要があります。

複合災害とは何か、そのための対策は何かについて、紹介していきましょう。

複合災害とは

複合災害とは、2つ以上の災害がほぼ同時、もしくは復旧中に発生することを言います。

この複合災害が発生してしまうと、さらに被害が深刻になり、その結果、復旧が長期化してしまいます。

複合災害は、字の通り、いくつかの災害が組み合わさるのですが、組み合わさる可能性がある災害としては、地震、火災、津波、台風、土砂崩れ、豪雨、豪雪、そして原子力発電所の事故など、特殊災害も複合災害に含まれることもあります。

この複合債は、様々な組み合わせが起こりうるため、事前に予測することが難しいという問題があります。

また、複合債が発生すると、復旧までの時間がかかります。

そのため、複合災害による被害を深刻化させないように、その対策を立てておくことが、とても大切となります。

複合災害の事例

過去の被害から学ぶことで、複合災害への対策を考えることが大切です。

近年発生した複合災害を簡単に紹介します。

台風、地震、豪雪

2004年新潟県中越地震の事例です。

これは、地震が起きる3日前に発生した、台風23号の豪雨により、地盤が緩んだことにより土砂災害の被害が拡大。

最終的に、10万棟以上の家屋倒壊の惨事となりました。

さらに、災害化の復旧を行っていた2か月後に、19年ぶりの記録的な豪雪と、更に建物被害が拡大しました。

地震、津波、原発事故

記憶に新しい、2011年の東日本大震災でも、複合債が発生しています。

マグニチュード9.0の地震が発生し、福島第一原子力発電所で、多くの損害が起きました。

原子力発電所は、非常用電源に切り替えて運転を再開。

地震から約50分後に押し寄せた津波で、非常用電源も損傷し、原子炉の冷却を試みたものの、結果的に大規模な原発事故に繋がり、日本中に大きな不安を及ぼしました。

地震、土砂崩れ

2016年に発生した熊本地震は、地震による家屋倒壊だけでなく、158件の大規模な土砂災害が発生しています。
更に、2か月後に熊本県内で豪雨が発生し、再び土砂災害に見舞われ、県内で5人の方が亡くなりました。

これらの被害は、地震によって地盤が緩んだ状態で、土砂災害が通常よりも発生しやすい状態にあったとされています。

複合災害への対策

最後に、複合災害に対する対策を紹介したいと思います。私たち個人でも、1つの災害でなく、複合災害もあり得るという意識を持つことはとても大切なことですので、ぜひチェックしておきましょう。

避難経路や避難場所を確認しておく

平時から個人でもできる対策として、簡単なことは、あらかじめ自宅や勤務先近辺にある、避難経路、避難場所をハザードマップ等で、確認しておくことです。

国土交通省や自治体が発表しているものは、災害別に用意されています。

複合災害発生時は、2種類以上のハザードマップを照らし合わせて、安全な避難経路、避難場所を探しましょう。

しかし、複合災害の場合は、被害が広範囲にわたる場合も多く、ハザードマップで安全とされている場所も、被災してしまう恐れがあります。

そのため、事前にいくつかの避難経路、避難場所を把握し、万が一の事態でも、臨機応変に対応できるように、しておきたいものです。

備蓄品を準備しておく

こちらも、個人でもできる対策になりますが、備蓄品を準備しておくことです。

災害が起きると、ライフラインが遮断されるケースがあります。

水道・電気・ガスなどのライフラインは、復旧や支援物資の到着に、約3日ほどかかると言われており、最低でも3日以上の備蓄が必要です。

複合災害ともなると、被害が深刻となり、復旧が長期化しやすいので、余裕をもって1週間分の備蓄品を準備しておくと安心でしょう。

企業においても、東日本大震災をきっかけに、防災グッズの確保が求められています。

具体的には、事業者に従業員の一斉帰宅の抑制と、従業員の3日分の食料等の備蓄について、努力義務を課すという内容です。

今では、企業の安全配慮義務が問われる時代ということもあり、防災グッズを一切準備しないなど、企業が安全確保を怠っていたことが原因で、従業員に被害を与えたとなると、法的責任を問われるケースもあり、できうる限りの防災グッズを用意しておくべきです。

BCPマニュアルを作成する

BCPとは、災害や事故などが発生した際に、事業の継続または、早期復旧を図るための計画のことを言います。

近年、このBCPを事業所単位で、策定、運用しようとする企業も多くなっています。

BCPを導入していないまま災害に遭うと、冷静な判断を行えず、迅速な事業の復旧ができない恐れがあるためです。

BCPによく似たものに、防災マニュアルがありますが、その違いは、BCPが災害だけでなく資金難など、事業を脅かす多種多様なリスクを対象にするのに対し、防災マニュアルは、建物や従業員などを災害から守る役割を持っています。

複合災害を想定した訓練を行う

先ほどお伝えしたBCPを策定した場合、その内容を従業員に浸透させるために、定期的に訓練を行うことをお勧めします。

訓練にはいくつかポイントがあり、あらかじめ想定したシナリオを用意し、策定したBCPの内容に基づいた訓練を行います。

ただ、同じ内容のシナリオを使いまわさないようにしましょう。特に複合災害の場合、想定外の事態が発生した場合に、対処できない恐れがあるからです。

また、訓練終了直後に、疑問に思った点や改善点を洗い出し、BCPの内容を定期的に修正してくことで、より効果的かつ実践的なマニュアルに近づいていきます。

まとめ

複合災害は、私たちの想定外の事態が起こりえます。

それでも、過去の事例をよく勉強し、具体的な対策方法などを講じておく必要があります。

最後にお伝えした、4つの対策も意識しながら、自分にできること、家庭でできること、職場でできることを考えていきましょう。

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