東日本の地震発生危険度と活断層をチェックしよう!

東日本の地震発生危険度と活断層をチェックしよう!自然災害

日本が地震大国とは、よく言われる事実ですが、実際に、どれだけの活断層があるか、そして、予測されている地震がどれだけあるか、私たちはあまり知りません。

ここでは、東日本を中心に、エリア別の活断層と地震を紹介します。

それに合わせて、30年以内の発生確率も紹介していきます。

東日本の地震発生危険度

平成7年1月17日に発生した、阪神・淡路大震災は、戦後最大の被害をもたらすとともに、日本の地震に対する防災対策に関する多くの課題を浮き彫りにしました。

その課題を踏まえ、地震調査研究推進本部が、総理府に設置されました。

その推進本部の資料を元に、今後30年以内に発生する確率が高いとされる、マグニチュード7程度以上の地震で、発生時に特に大きな被害をもたらすと想定される地震について、エリア別に紹介していきます。

北海道エリア

北海道は、明治以前の地震の資料が少なく、詳しい地震活動が把握されていないだけに、未知の部分が多くあります。

しかし、アイヌの伝承には、地震を示唆する内容のものが多く、古くから、多くの地震に見舞われていたことは、確かに伺えます。

主な活断層帯と、予想されている地震を紹介します。

北海道エリア活断層

北海道エリアの活断層では、中央部の日高山脈を境に、その東西の平野部に多く分布しています。

その他にも、札幌や苫小牧より南西の地域、北海道中央部から、知床半島にかけての地域は、火山が多くあり、群発地震が頻発するということも北海道の特徴です。

サロベツ断層帯

サロベツ断層帯は、宗谷丘陵西縁に分布する、長さ約44kmの活断層帯です。最新活動時期は十分に特定されていませんが、少なくとも、約5100年前以後に最新活動があった可能性があると考えられています。

「予想される地震規模」マグニチュード7.6程度
「30年以内の発生確率」4%以下

黒松内低地断層帯

黒松内低地断層帯は、寿都湾南方から、長万部にかけて分布する、長さ約32km以上の活断層帯です。

最近の調査で、長万部沖の海底に新たな断層が見つかり、その断層がつながっていた場合は、長さが約55kmに達し、想定される地震規模は、マグニチュード7.7となる可能性もあるとのことです。

「予想される地震規模」マグニチュード7.3程度以上
「30年以内の発生確率」2から5%以下

当別断層

当別断層は、石狩低地帯の西縁に位置しており、断層の西側には山地が、東側には低地帯が広がっています。

厚い堆積層で形成されている東側の低地帯は、揺れやすい地盤で、もし断層が動けば、強振動により家屋の倒壊が相次ぐと予想されます。

また、低地帯の河川埋立地などでは、液状化も発生しますが、液状化の埋立地の大半は水田で占められているため、その影響は軽微と推定されています。

一方、西側の山地では、がけ崩れが多発すると予想されています。しかし、この地域には人家や集落がほとんど存在しないこともあり、人的被害は小さいと考えられています。

この当別断層は、札幌市に近いため、大きな規模の地震が起きると、札幌市にも影響が及びます。

2011年に被害想定の見直しを実施した際、この地震による死者は、約4,192人と見積もっています。

北海道エリア地震

北海道の地震は、主に海域で発生します。

主な震源は、太平洋側沖合の千島海溝、日本海溝、日本東縁部海溝などです。

これらの海域において、今後30年以内には、根室沖を震源とする地震の発生が近いと推定されています。

択捉島沖地震

択捉島沖では、1918年と1963年に、大きな地震が発生しています。

いずれの地震でも、津波が発生しており、もし地震が起きれば、釧路や根室、三陸海岸に1m程度の津波が押し寄せると考えられています。

「予想される地震規模」マグニチュード8.1前後
「30年以内の発生確率」60から70%

色丹島沖地震

色丹島沖では、1893年と1969年に大きな地震が発生しています。

また、1969年の地震では、北海道東部沿岸で震度4を観測、そして色丹島に、2.75mの津波が押し寄せましたが、被害はほとんど出なかったようです。

十勝沖・根室沖地震

この海域では、マグニチュード8程度の地震が、約72.2年に1回の間隔で発生すると推定されています。

前回の根室半島沖地震が1973年だったことから、次の地震の切迫性が高まっていることが考えられています。

次の地震で注意すべきことは、1973年の地震よりも、規模が大きくなる可能性があることです。

その理由は、2003年に発生した、十勝沖地震が想定よりも規模が小さく、根室沖に接する東側のプレートに滑り残しがあると考えられているためです。

次の根室沖地震では、その滑り残しのプレートも同時に滑ることが予想されています。

現在、北海道では、地域防災計画の見直しを進めており、減災目標の策定に取り組んでいます。

東北エリア

2011年、三陸沖を震源とする、東日本大震災が発生し、東北地方の太平洋沿岸は、未曾有の被害を受けました。

その後、この東北エリアは、地震が多い地域として認識されるようになりました。

大規模な被害が起きることが予想される活断層が多いため、地域における防災活動も活発です。

東北エリア活断層

東北エリアの活断層は、奥羽山脈や出羽山脈の周辺に分布しています。

その中でも、山形県北部の3つの断層の発生確率が高く、もし地震が起きれば、山形県全域に大きな被害をもたらすと考えられています。

新庄盆地断層帯

新庄盆地断層帯は、山形県最上地方、新庄盆地の東縁および西縁に分布する活断層帯です。

断層帯は大きく東部と西部に分かれており、そのうち、地震の発生確率が高いのは、新庄市から舟形まちにかけて分布する東部の断層です。

「予想される地震規模」マグニチュード7.1程度
「30年以内の発生確率」5%以下

庄内平野東縁断層帯

庄内平野と、出羽丘陵の境界部に分布する庄内平野東縁断層帯の中で、危険性が高いのは、南部の断層です。

想定されている、マグニチュード6.9規模の地震が起きれば、周辺一帯が震度6強以上の地震に見舞われ、特に断層の西側地域は、強い揺れに襲われる可能性があります。

また、震源から離れた最上地域の一部でも震度6弱の地震が発生し、山形県内の広い範囲で、震度5強以上の揺れが起きると予想されます。

山形県は、減災対策を推進するため、市町村が行う自主防災組織の育成や強化、指定避難所の耐震化促進、非常用電源設備の設置、衛星携帯電話の設置などの取り組みに対し、さまざまな助成を実施しています。

「予想される地震規模」マグニチュード6.9程度
「30年以内の発生確率」ほぼ0から6%

山形盆地断層帯

長さ約60kmの、山形盆地断層帯のうち、地震の発生確率が高いのは、北部の断層です。

ただ、南部も含めた、断層帯全体が動く可能性もあり、その場合、地震の規模は、マグニチュード7.8に跳ね上がると予想されています。

地震に備えるため、山形県ではかねてから、自主防災組織の育成、強化に努めてきました。

さらに、2012年度からは、従来のリーダー育成に加えて、新たにアドバイザーの派遣事業を実施しています。

これは、住民に対して、自主防災活動のノウハウなどの、アドバイスを行い、住民が自ら課題を確認し、解決する話を提供することを目的としています。

「予想される地震規模」マグニチュード7.3程度
「30年以内の発生確率」0.003から8%

東北エリア地震

東北エリアの海域では、太平洋プレートの沈み込みに伴う大地震が繰り返し発生しており、今後30年以内にも、三陸沖北部、宮城県沖を震源とするマグニチュード7以上の地震が発生する可能性があります。

また、東日本大震災に伴うマグニチュード7クラスの余震が、断続的に起こる可能性も考えられており、警戒が必要です。

三陸沖北部地震

三陸沖北部の海域では、大きな津波被害をもたらす、マグニチュード8クラスの地震が、約97年に1回の間隔で発生しています。

それ以外にも、規模が一回り小さいマグニチュード7クラスの地震が、約14.1年に1回の間隔で、発生しています。

後者の地震は、1994年に発生していることから、次の地震の切迫性が高まっていると考えられています。

「予想される地震規模」マグニチュード7.1から7.6
「30年以内の発生確率」90%程度

宮城県沖地震

宮城県沖の海域を震源とする地震は、約31.8年に1回の間隔で、発生すると考えられています。

なお、宮城県沖地震の想定震源域では、毎日何度も地震が発生していますが、そのほとんどが、震度0の、無感地震であるとされています。

「予想される地震規模」マグニチュード7.0から7.3
「30年以内の発生確率」60%程度

関東エリア

関東エリアの周辺には、太平洋プレート、ユーラシアプレート、フィリピン海プレートという3枚のプレートが存在します。

ユーラシアプレートの下に、フィリピン海プレートが潜り込み、さらにその下に、太平洋プレートが潜り込という、複雑な地下構造をしています。

関東エリア活断層

3枚のプレートの存在で、関東地方は、日本の中でも特に、地震活動が活発な地域の一つとされ、断層型地震だけでなく、通常なら、海溝などで起こるプレート間地震も、内陸直下で発生します。

神縄・国府津―松田断層帯

この、神縄・国府津―松田断層帯は、日本の主な断層帯のなかで、もっとも地震の発生率が高い、断層帯の一つです。

特に、足柄平野および相模平野は、酒匂川や相模川が運んできた土砂や、富士山の噴火物が積み重なった堆積層からなっており、地盤が軟らかいため、地震が起きた際には、大きく揺れることが考えらます。

また、文部科学省が、2009年から2011年にかけて実施した重点調査では、相模湾の海底にも、断層が見つかっており、断層帯がさらに南方に、伸びている可能性が浮上しました。

もし、海底部分も含めて、断層が動いた場合は、神奈川県の一部に5から6mの津波が襲来し、神奈川県西部を中心に、甚大な人的、物的被害が出ると、推定されています。

「予想される地震規模」マグニチュード7.5程度
「30年以内の発生確率」0.2から16%

三浦半島断層帯

三浦半島断層群は、2011年の東日本大震災に伴う、地殻変動の影響で、地震発生確率が、さらに高まった可能性があります。

地震が発生すると、神奈川県東部に被害が集中し、地盤が脆弱な横浜市、川崎市、横須賀市の川沿いで液状化、傾斜地の多い三浦市、逗子市、鎌倉市、葉山町などで、数千カ所のがけ崩れが生じ、大きな被害が出ると予想されています。

また、この断層は、一部が海底にまで伸びているため、震源が海底なら、周辺の沿岸に1.5mの津波が押し寄せると考えられています。

神奈川県では、延焼火災の防止に向け、木造住宅密集地での街路整備や区画整理、消防団の強化等の対策に着手しています。

関東エリア地震

脆弱な地盤を持つ、関東平野は極めて揺れやすく、特に南関東で発生する地震は、震源が浅いため、ひとたび首都直下地震が起これば、その被害は甚大なものになると予想されています。

1923年に発生した、「関東大地震」は、都心一円に甚大な被害をもたらしました。

しかし、この地震の発生周期は、約200年と考えられています。このことから、この発生周期をもとに考えると、次の関東大地震は、およそ100年ごと推定されます。

しかし、安心はできません。

1703年の「元禄型関東地震」以前の記録はほとんど残っていないため、実際の正確な発生周期については、不明な点が多いからです。

茨城県沖地震

この茨城県沖の海域では、マグニチュード6.7から7.2の規模の地震が約22年に1回の間隔で、繰り返し発生しているほか、別の震源による、マグニチュード6.9から7.6の規模の地震が、約25.6年に1回の間隔で発生するなど、地震活動が極めて活発なエリアです。

また、この海域は、2011年の東日本大震災の震源域の一つで、今後もマグニチュード7を超える余震が発生する可能性も大いにあります。

「予想される地震規模」マグニチュード6.9から7.6
「30年以内の発生確率」70%程度

南関東地震

関東地方南部では、複数の震源によるマグニチュード7クラスの地震が、数十年に1回の間隔で発生し、過去1894年の明治東京地震、1921年の茨城県南部地震、1987年の千葉県東方沖地震などが発生しています。

1923年の関東大震災をはじめとするマグニチュード8クラスの地震とは、震源域が異なり、規模もひと回り小さいものの、もし東京湾北部を震源とするマグニチュード7.2の地震が起きれば、被害は甚大になる可能性が高い。

「予想される地震規模」マグニチュード6.2から7.2
「30年以内の発生確率」70%程度

まとめ

地震調査研究推進本部の資料をもとに、東日本の活断層と地震発生危険度を見てきましたが、東日本だけでもこれだけたくさんの活断層、そして、予想される地震があることには驚きを隠せません。

また、過去のデータをもとに、規模や発生確率も紹介していますが、実際のところ、自然の驚異はいつ起こるかわかりません。

あくまで、データとして捉え、日頃からの対策、防災に努めたいものです。

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