変わりゆく浸水被害の現状。日本6大都市における都市型水害の恐怖

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「都市型水害」という言葉を近年の浸水被害を呼ぶワードとして聞くようになってきました。

生活の利便性を向上するために、地下空間を活用し、その結果、豪雨の際の冠水が問題になっていることは、代表的な「都市型水害」のひとつだと言えます。

この他にも、日本の6大都市においてそれぞれ深刻な浸水被害が増えてきています。

それぞれ、対策を講じてきてはいますが、まだまだ課題がある都市もあるようですので、詳しく紹介していきます。

6大都市圏で想定される浸水

これまで、台風被害は、西日本だけの事と思いがちでしたが、近年、台風の進路が、西日本というより、日本を縦断し、全国各地で猛威を振るうという状況が増えてきています。

それに伴い、浸水被害も各地で多発しています。

日本の6大都市においては、それぞれ地盤の構造の違いからその対策も異なるようですので、紹介していきましょう。

東京都

都内には、約6万3000カ所の地下空間が存在しています。

東京駅周辺の八重洲地下街にはじまり、新橋駅の東口、新宿駅または池袋駅の周辺など、8つの代表的な地下街があり、そこに地下鉄や商業ビルが入り、毎日数多くの人が利用をしています。

さらにこの地下街の面積は、年々広がっており、それに比例して、利用人数も増加傾向にあります。

このような地下空間は、大規模な台風や豪雨の影響を受ける可能性があり、東京都では浸水に備えたさまざまな対策を講じています。

ハード面では、河川・下水道整備の一環として、調整池を近に建設しています。

この調整池は、洪水を貯留することで、降雨による水位上昇を抑える役割があります。

代表的なのは、「神田川・環状七号線地下調節池」です。

妙正寺川と善福寺川と神田川をつなぎ、将来的には、北は白子川、南は目黒川まで連結させる構想になっているようです。

その他にも、雨水を地下に浸透させるための施設、浸透管、浸透側溝、浸水性舗装の設置を推進しています。

ソフト面では、水害についてのリアルタイムでの情報収集とその提供を行っています。

テレビやラジオの他に、近年では、河川の氾濫状況が、インターネット経由でひと目で分かる、ウェブカメラが設置されるなど、各自治体の防災活動と連動させると、東京都民は降雨状況を把握することが可能になります。

その例をひとつ紹介しますと、レーダー観測雨量を閲覧出来る都下水道局提供の、「アメッシュ」と千代田区の、「千代田区河川情報システム」を、組み合わせることで、当該地区の人々は、防雨の際に避難が必要な状況なのか、自宅にいながら知ることが可能となります。

札幌市

札幌市には、石狩川やその支流である、豊平川などが氾濫して、水害をもたらしてきたという歴史があります。

さらに、都市化が進み、アスファルトの道路やコンクリート造りの建物などにより、雨水が地下に浸透しなくなっています。

そこで札幌市は、「豊平川雨水貯留管建設事業」を立ち上げ、下水道の排水処理能力を高める対策などを進めています。

また、石狩川周辺には、「泥炭地」と呼ばれる軟弱な地盤が広がっています。

そのため、河川沿岸では、恒常的な地盤沈下に悩まされてきました。

この問題を解決するために、これまでさまざまな軟弱地盤対策が試みられてきました。

その一つに、1975年8月に起こった、石狩川の大洪水を契機に、緊急に河川築堤を行うため、軟弱地盤上の盛土を安定させるために開発された、「パイルネット工法」があります。

この工法は、短期間で築堤盛土が可能な工法として、多くの場所で採用されていました。

仙台市

仙台市では、豪雨による河川堤防の決壊は1950年以降発生していませんが、台風襲来時には下水道などの排水が追いつかず、雨水が溢れる内水氾濫が幾度か発生しました。

特に、1986年度の台風10号襲来時の損害は大きかった。

また、1994年9月には、内水氾濫と同時に外水氾濫も発生しました。

宮城県では、この被害を契機として、名取川水系の支流に関しての治水対策に乗り出しました。川内沢川の流域には、空港へのアクセスとなる鉄道網といった重要インフラが集中しており、治水対策が急務でした。

2007年から始まった「広域河川改修事業」により、川内沢川流域の放水路の整備が行われ、工場や住宅が密集する矢野目地区、仙台空港などの保全が進められています。

名古屋市周辺

2000年9月、マリアナ諸島近海で発生した、台風14号の影響で、愛知県、三重県、岐阜県を含む東海地方で、一時的に「東海豪雨」と呼ばれる、記録的な降雨が発生した。

名古屋市でも従来の最高値の約2倍にあたる、1日428mmもの高水量を観測しました。

その際の名古屋市の特徴的な被害は、地下空間の浸水でした。

地下街の発達した名古屋市では、地下における商業施設や駐車場などの一般資産が他都道府県よりも比較的多いため、浸水被害に比例して、一般資産の被害が大きくなりました。

地下鉄も打撃が大きく、復旧までに時間を要しました。

建設省(現国道交通省)発表の試算値では、東海豪雨による被害総額は約8500億円ともされていました。

現在名古屋市では、「緊急雨水整備事業」と呼ばれる浸水対策を行っています。

雨に強い街づくりを目指して、原則1時間あたり60mmの降雨に対応できる施設整備を行っています。

河川整備と下水道整備の両輪によって成り立っており、過去最大の降水量に見舞われても床上浸水を概ね解消できるような施設整備を進めています。

大阪府

大阪府の浸水被害は、主に、大阪湾へと注ぐ淀川水系の被害でしょう。

2府4県にまたがる一級河川である淀川水系ですが、古くから流域には豊かな自然が広がり、その恵みを求めて人々が集まり、人々の暮らしを支えてきました。

しかしその一方、大雨などが原因で、ひとたび氾濫すると、甚大な被害が出ることでも知られています。

1885年には、台風の影響で「淀川洪水」が起こり、堤防222カ所が破堤しました。

そのため、国と周辺自治体は、地域の風水害対策の第一義として、沿岸整備を行ってきました。

また、2011年、大阪市の雨水対策整備率は、全国平均を上回る79.3%であったものの、集中号による浸水は、完全に防げているわけではありません。

近年も、1時間で77.5mmの豪雨を、大阪管区気象台が記録した際にも、多数の地域で浸水が起こりました。

その被害を受けて、大阪市では下水道幹線13路線や、下水道処理場内ポンプ場の建設を新しく始めています。

また、大阪府と国道交通省は、壊滅的な洪水被害を防ぐために、1980年代から、高規格堤防、いわゆるスーパー堤防の護岸整備も進めてきています。

現在、コスト縮減や投資効率性などを再検討している段階で、昨今起こった、未曾有の大災害が考慮された検討結果に期待が掛かっています。

福岡市

福岡市では、昭和38年より、本格的な下水道整備事業が行われきました。

しかしながら、建設当時の雨水排水基準をクリアしていた地区でも、近年の都市化により、雨水の流出係数が増大している現状です。

例えば、都市化する以前であれば、降雨の50%が地下へ浸透し、50%が河川や下水道へ流出していましたが、都市化後には、地下への浸透率は25%程度になっています。

このため、博多駅や中洲のある博多区や、天神のある中央区などの繁華街が、浸水の危険性にさらされている状況です。

実際に、1999年には、都市型水害の典型的な事故も発生しました。

同年の6月29日の明け方から降り始めた雨は、1時間あたり79.5mmの降水量を記録するほどの豪雨へと勢いづき、市内全域で浸水被害が発生しました。

特に、博多駅周辺では、御笠川の増水により中心部や地下街の多くが浸水しました。その結果、地下街から逃げ遅れた従業員1名が浸水に巻き込まれて死亡。

都市部が1m近い浸水に見舞われるという、流水係数が増大した、現代の水害の縮図とも言える事故でした。

この浸水被害を受け、福岡市は、整備計画である「雨水整備Doプラン」を策定しました。

博多駅周辺については、2003年にも甚大な被害を受けたことから、その対策として、福岡県において御笠川の改修を2007年に完了させました。

下水道については、過去の実績をもとに、79.5mmの降雨にも対応できるよう「雨水整備レインボープラン博多」を、策定し、雨水対策を強化しています。

山王1号、2号雨水調整池や博多駅北ポンプ場、直径が5mもある比恵9号幹線などの雨水貯留管の整備を2012年度までに完了しています。

まとめ

6大都市における、「都市型水害」の現状と対策を紹介していきました。

自然災害は、どのような被害を私たちの社会にもたらすか予想できないものも多く存在します。

その威力もこれまでにないものであったり、被害状況も変化していく中で、しっかりとその対策を講じて、身を守っていかねばなりません。

国をはじめとする、各自治体の情報には目が離せません。

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