災害関連死の実態。私たちにできる4つの予防法を紹介します

災害関連死の実態。私たちにできる4つの予防法を紹介します自然災害

災害関連死は、1995年に発生した阪神淡路大震災を機に生まれました。

その阪神淡路大震災では、過労死や病死などの災害関連死によって、約900人もの方が亡くなりました。

また、災害関連死と認定されるには、亡くなった方の遺族が災害弔慰金の支給に、申し込む必要があるため、申請されていない場合も考慮すると、データ上の人数よりもずっと多いとされています。

この災害関連死を防ぐ方法はないのか?

国が掲げている政策も含め、私たちが気を付けることを紹介していきます。

災害はいつ、どこで起きるかわからないことを認識して、日ごろからの備えをしっかりやっていきましょう。

災害関連死とは

あまり聞きなれない言葉かもしれませんが、災害関連死は、火災、水難、家屋の倒壊など、災害の直接的な被害による死ではなく、避難生活の疲労や、環境の悪化などにより、病気にかかったり、持病が悪化したりするなどして、死亡してしまうことを言います。

特に地震の場合は、地震による建物の倒壊などで、直接死亡するよりも、災害関連死で亡くなる方が多くなっています。

政府は、災害関連死を減らすために、災害関連死の定義を次の通りとし、自治体に周知しました。

「当該災害による負傷の悪化、又は避難生活などにおける、身体的負担による疾病により死亡し、災害弔慰金の支給などに関する法律に基づき、災害が原因で死亡したものとみとめられたもの」

具体的な事例をご紹介すると、

・避難中の車内で74歳女性が、疲労による心疾患で死亡
・78歳男性が、地震後の疲労等による不全で死亡
・42歳女性が、エコノミー症候群の疑いで死亡
・83歳男性が、地震による栄養障害及び愛猫の悪化などにより死亡

といったものが、災害関連死として認められています。

実は、災害が原因で亡くなった場合、いわゆる直接死だけでなく、災害関連死の場合においても、遺族が市町村に審査を求め、認められれば、災害弔慰金の支給の対象になります。

生計を担っていた人が亡くなった場合には、500万円、それ以外の人で250万円の支給があります。

この給付認定について政府は、統一的な基準を策定しない方針を固めましたが、その代わりに、過去の認定例などをまとめた「事例集」を作成し、自治体に提供することで認定状況のばらつきを少なくするようにしているようです。

災害関連死が起こる原因

災害関連死はどうして起こるのでしょうか?

災害関連死が発生する理由として、以下のことが原因だと言われています。

・慣れない避難所でのストレス
・水分や栄養不足などによる衰弱
・医師や看護師不足により、適切な治療が受けられない
・避難などの疲労による交通事故
・復旧中の過労死
・エコノミー症候群

特に、エコノミー症候群については、長時間同じ姿勢出ることにより血栓ができ、呼吸困難や失神などを引き起こし、発症すると命を落とすこともある病気です。

通常の生活よりも歩行が少なくなり、同じ姿勢でいることの多い車中泊、そして避難所での生活は、このエコノミー症候群を発症する可能性が高くなります。

また、避難生活は、肉体的にも精神的にも辛いことから、慣れない避難所の生活が負担となり、亡くなるというケースが後を絶ちません。

災害関連死を防ぐ方法

政府は、この災害関連死を防ぐために、さまざまな対策を打ち出していますが、なにより初動対応が重要だとしています。

発災から72時間が、救命救急活動の重要な時間帯として、人的・物的資源の配分を、人命救助に最優先に投入するとしています。

また、避難支援のガイドラインの見直しを行い、情報提供や支援物資の備蓄と確保、輸送、避難所生活、仮設住宅入居などに関して、対応を整備しています。

さらに、安全で確実な避難を広域で行えるようにマニュアル化、避難所生活での高齢者、障がい者、妊産婦、乳幼児や子供のいる家庭への配慮を行うなど、災害関連死を起こしやすい人を優先し、サービスの提供を行うことも検討されています。

避難所での生活で重要な問題となるのは、T(トイレ)、K(キッチン)、B(ベッド)の3つの環境が失われることとし、このTKB問題を解決するために、十分な数の導入を進めています。

この他にも災害関連死を防ぐためのポイントを4つご紹介しましょう。

テントを準備する

エコノミー症候群を防ぐために、防災テントを準備するといいでしょう。

車中泊や避難所よりも、自由に体を動かすことができるので、同じ姿勢を取り続けることで発症するエコノミー症候群の心配が少なくなります。

また、野外に防災テントを設営すれば、プライベートを確保できるため、ストレスの軽減にもなります。

テントは、アウトドアなどで慣れていない人は、設営することに負担がかかってしまうため、初心者の方でもすぐに設営できる、ワンタッチテントを選ぶといいでしょう。

備蓄品の確保

防災グッズはぜひとも準備しておきたいアイテムです。

大規模な災害が起き、水道やガス、電気といったライフラインの復旧や、支援物資の到着までに、約3日ほどかかると言われています。

そのため、3日分を必要最低限とし余裕をもって、1週間分の防災グッズを確保しておくといいでしょう。

また、避難所生活では食生活に偏りが生じます。栄養バランスのとれと非常食を用意しておくと、長期に及ぶ避難生活でも安心です。

トイレの確保

先程のTKBの1つであるトイレについては、感染症の蔓延を防ぐためにも、簡易トイレを準備しておくことをお勧めします。

どうしても、避難所のトイレは短期間で多くの人が利用するため、不衛生になりがちです。

また、不衛生なトイレを嫌って、水分補給を控えるなどして、トイレを我慢する人もいます。

これは、かえってエコノミー症候群が発症する可能性が、高くなってしまうのでやめたほうがいいです。

水分補給

避難生活中は、特に水分補給をきちんと行いましょう。

身体の水分が少なくなると、血液が固まりやすくなることで、エコノミー症候群が発症する可能性が高くなります。

また、脱水症状がおきることで、脳梗塞や心筋梗塞のリスクも高くなる恐れがあるため、定期的な水分補給は必須です。

まとめ

今年もすでに大きな地震も発生しましたし、去年の災害における避難生活者もまだ多数いらっしゃいます。

なんとしてでも防ぎたい災害関連死ですが、今回の記事でもご紹介した4つのポイントも含めて、しっかりと備えをしておきたいものです。

災害は、いつ自分の身に降りかかるかわかりません。

何も起きていな平時の備えを、しっかりとやっていきたいものです。

建築・不動産業界の新しい資格「自然災害調査士®」

自然災害調査士®
「自然災害調査士®」という資格を新設し、自然災害の被害を調査・鑑定するプロを育成しています。

昨今、頻繁に起こる自然災害による被害にまつわる問題を、専門的知識を持って適切な調査をする業務に従事する者(民間で活躍する自然災害家屋コンサルタント)としての位置づけを目的としております。 不動産会社、建築会社や工務店に勤務している方が多く取得しており、ご自身の業務に調査士の知識を役立てています。
自然災害
自然災害調査士®

コメント

タイトルとURLをコピーしました