保険全般に言えることですが、親が亡くなって、相続が発生した場合は、普段は行わない手続きが多くあります。
その中の一つに、火災保険の名義変更手続きがありますが、忘れている人も多いようです。
近年、自然災害の被害が増えている中で、速やかに変更手続きをしておかないと、後々保険金を受け取る際に、スムーズに受け取れないこともあり得ます。
いざという時に、慌てることがないように、注意すべき点なども含めて、勉強しておきましょう。
火災保険を相続する前に知っておくべきこと
火災保険は契約期間が長いため、契約期間中、様々な変更手続きをすることがありますが、今回は、家を相続した際の手続きについて詳しく解説していきます。
火災保険契約の相続について、まず確認しておかないといけないことは、契約者と被保険者についてです。
契約者とは、保険契約者の当事者で、契約をして保険料を支払う人です。
被保険者とは、火災保険の補償を受ける対象者で、物件の所有者になります。
被保険者が物件の所有者であるというのは、物件の所有者と関係ない人が契約できたら、火災保険で全焼して保険金をもらった方が、良いと考えられるからです。
また、火災保険の場合は、契約者と被保険者が同じ場合もあれば、そうでないことがあります。
建物が親と子、もしくは夫と妻の共同名義の場合、被保険者は親と子などの複数になる場合もあり得ます。
逆に、契約者はあくまで一人です。
これから解説する、火災保険の相続について、これらのことを正しく知っておく必要があります。
火災保険を相続する事例
家の所有者が亡くなった際、相続が起きますが、その際、火災保険では名義変更という手続きが必要です。
そのようなときに、火災保険の名義変更手続きをしておかないと、保険金を受け取れないかというと、決してそうではありませんが、スピーディーな支払いができず、いろいろな手続きが必要になりますので、早めに手続きを済ませておくほうがいいでしょう。
しかし、名義変更には比較的簡単にできるケースと、そうでないケースがあります。
代表的な2つのケースについて、解説していきましょう。
共同名義の場合
家の相続が起きた際、もし家の所有者が共同名義だったら、火災保険の契約者や被保険者はどうしたらいいでしょうか。
建物が、共同名義で会っても、火災保険の契約者は1人にしなければいけません。
契約者は初めにお伝えした通り、保険料を支払う義務があります。
そして、契約内容の変更などを行うことができます。
ですので、後々もめることがないように、しっかりと話し合って決める必要があります。
しかし、被保険者は複数の人を設定することができるので、建物の所有者全員を被保険者とします。
逆に、建物の所有者全員を被保険者としておかないと、火災や自然災害の被害にあった際、保険金の支払いがスムーズにできないケースがあります。
いざ保険金が支払われる前に、契約の変更や訂正の手続きが必要となり、早く保険金が必要なのに、受け取れないということになりかねません。
積み立て型の場合
火災保険が、積み立て型の場合は、相続財産とみなされるため、名義変更の手続きが少々面倒になります。
積み立て型の火災保険の場合は、満期になると、満期返戻金が支払われるため、相続財産の一部となります。
そのため、積み立て型の火災保険の相続で、名義変更を行う場合は、相続人全員の承諾が必要となります。
手続きの際の必要書類については、保険会社によって異なりますが、戸籍謄本や遺産分割協議書など、いろいろな書類が必要になります。
もし、火災保険が積み立て型の場合は、必要な手続き内容や、必要書類に、どのようなものがあるのか、早めに保険会社に連絡して相談しておくといいでしょう。
火災保険の相続で注意すべきケース
いざ相続が発生した際、金融機関にある預貯金や株、家の名義変更は、割としなくてはいけない手続きとして、知られていますが、火災保険契約の名義変更手続き必要だとは、
見落としてしまう人が多いです。
また、名義変更が必要と分かっていても、遺産分割協議が長引くこともあり得ます。
その場合でも、取り急ぎ保険会社には、相続が発生したという連絡は早めにしておくほうがいいでしょう。
その連絡をしておくだけでも、もしこれからお伝えするケースにおいても、少しはスムーズに手続きが可能になるでしょう。
名義変更前に被害にあった場合
相続が起きても、遺産分割協議が長引いたり、忙しくて手続きの暇がなかったなどの理由で、名義変更が住んでないうちに、火災や自然災害に遭ってしまうこともあるでしょう。
そのような場合でも、契約そのものに不備があるわけではないので、補償はきちんと受けることが可能です。
しかし、やはり保険金を受け取るまでに時間がかかります。
保険金支払いの手続きの前に、本人確認や名義変更の手続きが必要になってくるためです。
スムーズな保険金の受け取りのためにも、相続登記が終わったら、火災保険の被保険者や、契約者の名義も速やかに変更しておきましょう。
家が空き家になる場合
もし親が亡くなって、その家を相続した場合、決してその家に住むとは限らず、空き家にしておくというケースも多いでしょう。
そのような場合は、単に火災保険の名義変更をするだけでは済みません。
親が住んでいた時の建物の火災保険は、住居専用として使用する条件で契約をしています。
いわゆる、「住宅物件」での契約となっています。
しかし、空き家の場合は、居住用の建物とはみなされず、よりリスクが高い「一般物件」という扱いになります。
一般物件だと、保険料も高く、地震保険にも加入できません。
普段は空き家だけど、家財が備え付けてあり、定期的に宿泊している場合は、住宅物件として契約できる場合もあります。
逆に、保険会社によっては、そもそも空き家の契約を引き受けないこともあります。
これらは、保険会社の判断になるので、一度保険会社に相談してみるといいでしょう。
まとめ
高齢化者社会になり、親が亡くなって、家を相続するというケースは、これから先増えていくことでしょう。
その際、火災保険の名義変更も必要になるということは、ぜひ知っておいてもらいたいことです。
更に、その名義変更のタイミングで、補償内容の確認も必要でしょう。
特に、被害を受けた際に、修理する費用の実費分が支払われない、時価額での契約になっていないかだけでも、確認が必要でしょう。
保険は正しく加入しないと、最終的に損をすることもあり得るので、しっかりと確認をしておきましょう。
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