自然災害による被害は、屋根や外壁の外観だけではなく、屋内にもその被害の影響が現れる可能性があることをご存知でしたでしょうか?
屋外での被害に気づかずそのまま放っておくと、その被害箇所から雨水が侵入し、部材が腐食したり、天井や壁に雨染みなどが発生してしまう場合があります。
そうなってしまうと修繕費用が高額となってしまう場合が多いので、定期的な家屋の調査で被害がないか確認することが必要ですが、被害の場所よってはなかなか判断が難しい場合があります。
まずは、どのような被害が起こりうるか、ひとつずつ説明していきます。
<室内の被害1>窓に現れる自然災害
台風・竜巻・突風による風圧、飛来物により、窓ガラス・サッシの破損が起こることがあります。
窓ガラスは割れたりヒビが入ったりするので、比較的被害がわかりやすいですが、サッシには飛来物でのキズがついて、目視では少しわかりずらい可能性があります。
また、地震の揺れによるサッシの変形が起こることで、窓ガラスが割れる被害が発生する可能性があります。
特にコーナー部の割れがよく見られます。
ひどい場合は立て付けが悪くなってしまい窓が開かなくなることがあります。
基本的にはサッシだけが曲がることはないので、その場合、建物の構造自体に歪みや曲がりが生じていることになります。
ガラスはその性質から、ある程度の時間が経過していくと、重力の影響を受け、ガラスの上部に対して下部の厚さが太くなるという劣化が起こる可能性があります。
ガラスのこういった性質から「ガラスは液体」であると言われています。
また、屋内と屋外との気温差によってガラスが割れることがあります。これがガラスの劣化の一つである「熱割れ」です。
網入りガラスの熱割れはよくある現象なので、ご注意ください。
<室内の被害2>壁、天井に現れる自然災害
風害による天井の雨染み
雨水がなんらかの原因で家屋内に侵入してくることで雨染みは生じます。
基本的には雨水が家屋内に侵入しないような構造なのですが、台風、突風などにより屋根、外壁が破損した場合、そこから雨が家屋内に侵入して天井や壁に雨染みを作ることがあります。
これは風害による二次被害によるものです。
ですが、経年劣化が原因でも雨染みが発生することがあります。
屋根材をおさえる釘が錆びて、そこから雨が伝わり屋内に侵入する事があります。
またルーフィングの柔軟性が損なわれることにより、釘が締め付ける力が失われ雨漏りとなる二次災害が発生する可能性もありますので、注意が必要です。
近年の建物内部の壁や天井には防火性、遮音性の高いプラスターボード(石膏ボード)が使われています。
このプラスターボードは水に弱いので、水に濡れると脆くる性質があります。
その状態を放置しておくと、カビが発生し、クロスが剥離するといった被害が発生します。
雪による天井の雨染み
すが漏りにより、想定外の雨漏りが起こる場合があります。すが漏りによって逃げ場を失った雨水が、ルーフィングの隙間を通り、雨漏りに繋がる場合があります。すが漏りの詳細についてはこちらの記事を参照してください。
地震による壁の被害
地震の揺れにより、部材が歪み、その結果として壁の亀裂が生じる場合があります。
室内の壁材として下地材(プラスターボード・合板)などを使用している場合は、地震の揺れに柔軟に対応できている場合がありますが、接合部がずれると伴いクロス(壁紙)の亀裂が起こる可能性があります。
壁材が浮いたり、剥離した場合は、その箇所を叩いた音の違いによって補修が必要となります。
ですが、単にクロス(壁紙)が,まくれた時は、構造上問題ないとみて問題ありません。
また、浴室などの壁がタイル仕上げの場所では、タイル自体が堅いので、揺れに伴って変形し、タイルが割れてしまう場合があります。
室内壁にビニールクロスが長時間使われている場合は、紫外線などによって経年劣化が起こります。
プラスターボードは基本的に、20〜30年、もしくは半永久的に耐久性があると言われていますが、外的衝撃に弱いという一面があります。
聚楽壁は、長時間経過すると砂状化といった劣化状態になります、また接着力がなくなるという劣化も起こります。
天井の雨漏りの原因を見極めましょう
室内に現れる被害の多くは、雨漏りによる被害が多くみられます。
その雨染み原因は自然災害によるものなのか、経年劣化なのか、施工不良によるものなのかを見極める必要があります。
自然災害による被害であれば、火災保険で修繕することも可能ですので、まずは自然災害調査士による家屋調査をお勧めします。
また、2階建ての場合、雨漏りが発生したのは1階なのか2階なのかで、雨漏りの原因が異なります。
2階の場合は天井のすぐ上は屋根なので、風害などで屋根材が破損して雨漏りしている可能性がありますが、屋根とは直結していない1階の場合は、窓のサッシや壁から雨水が侵入してきている可能性があります。
雨漏りの場所でも自然災害なのか、劣化なのかを判断する材料にもなります。
自然災害での被害は、火災保険が適用される可能性があるので、保険金で修繕できますが、それ以外の場合は、自費で修理しなくてはなりません。
雨漏りだけですと、基本的には火災保険は適用されませんので、雨漏りの原因を突き止め保険を申請する必要があります。
我々、自然災害調査士は、その判断と家屋調査のプロですので、天井に雨染みが見受けられた場合は、一度当協会にご相談ください。
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