不動産でしたら不動産鑑定士、骨董や絵画でしたら美術鑑定士など、資産や物の価値を見定める資格があり、他にも古民家鑑定士、米・食味鑑定士や相続鑑定士など、新しい鑑定士の資格も年々新設されています。
資格を取得すれば、その分野の専門家として活躍が期待できます。
当協会で運営している「自然災害調査士」は、自然災害被害の鑑定士にあたります。
家屋など建物の受けた自然災害による被害を、正しく鑑定するのが業務です。
以前より、自然災害被害の判断は難しく、まだ専門家もいなかったため大規模災害による被害の判断や、日常で受ける自然災害の被害の基準も曖昧でした。
このことにより、顧客とのトラブルになる場合が多く、現場で働く人間にとってはストレスとなっていました。
このように頻繁に起こる自然災害による被害にまつわる問題を、専門的知識を持って適切な調査をする業務に従事する者(民間で活躍する自然災害家屋コンサルタント)としての位置づけを目的としております。
自然災害調査士の役割
当協会では昨年2016年4月より「自然災害調査士」という資格を新設し、自然災害の被害を調査・鑑定するプロを育成しています。
自然災害調査士は、民間、企業の自然災害と思われる被害を先ず専門的知識をもって、策定した基準に従い調査します。
その調査内容によっては認定書の発行を、自然災害診断士に確認依頼の後、一般社団法人 全国自然災害家屋調査協会に依頼を行います。
また自然災害による被害の修繕においては具体的な活用支援を行います。
その調査やその後の環境の変化を踏まえた支援も行います。
このため自然災害調査士は、専門的知識・能力の適切な活用とともに民間、企業、行政等のパイプ役を担うとともに適切な施策の活用まで、幅広い活動に対応できるような知識と能力が求められます。
自然災害調査士の業務
自然災害調査士の業務は、民間、企業の家屋の自然災害による被害の調査及び助言が主な業務です。
また、自然災害被害と経年変化の現状分析を踏まえた適切な判断とアドバイスも主な業務となります。自然災害調査士は、その能力と知識を活かし幅広い活躍をしています。
調査士を取得した方の主な職業
不動産会社、建築会社や工務店に勤務している方が多く取得しており、ご自身の業務に調査士の知識を役立てています。
また、建築士、屋根診断士などの資格を既に取得した方も、さらなる業務の幅を広げるために自然災害調査士を取得されています。
<取得した方の主な職業>
建築会社、リフォーム会社、工務店、不動産会社、保険代理店、主婦 など
<取得した方の主な資格>
一級、二級建築士、屋根診断士、外壁診断士、土地家屋調査士、不動産鑑定士、宅地取引主任者 など
自然災害調査士の活動内容
自然災害調査士は、自然災害が引き起こす家屋への被害と、その被害箇所を調査しメンテンナス・補償・リフォームなどまでアドバイス・サポートする「自然災害家屋コンサルタント・家屋修繕コンサルタント」としての活動が可能です。
「自然災害被害と経年劣化の現状を踏まえた適切な判断とアドバイス」が主な業務です。その能力と知識を活かし幅広い分野で活躍しています。
家屋調査
近年増加した大規模地震・台風などの自然災害により、日本の家屋は非常に過酷な状況におかれています。
その中でも屋根は、太陽光や雨風に常にさらされています。屋根が破損すると、天井の雨染みや雨漏り、さらに悪化すると家屋倒壊といった被害になる可能性があります。
このような状況で家屋を長持ちさせるには定期手な調査とメンテンナスが必要不可欠です。当協会の認定を受けた調査士が家屋の健康を守るべく、自然災害被害や経年劣化した箇所などがないか調査します。
調査では当協会で策定した家屋調査基準を設け、チェックリストを元に対象となる家屋の被害は、自然災害なのか、複数の自然災害の組み合わせなのか、劣化なのか、自然災害と劣化の組み合わせなのか、など原因を特定し判断していきます。
調査後は、「調査結果報告書」を提出し、被害のあった箇所を家主様に報告します。調査結果を確認いただき、修繕やメンテンナスをご希望の家主様は、修繕に向けてサポートまたはアドバイスします。
家屋の修繕サポート・アドバイス
家屋調査の結果をもとに、どの箇所を修繕すればよいのか、どのようにすればよいのかアドバイスいたします。
また、風害・水害などの自然災害で受けた建物の被害は「火災保険」で修理することも可能ですので、その申請のサポートもいたします。
自然災害調査士の将来
東日本大震災、熊本地震などの地震、集中豪雨、大雪など大規模な自然災害により、被災した地域では復旧もままならない状態で、生活の再建まで時間がかかってているのが現状です。
また、生活再建の中でも一番スピードが求められるが、「罹災証明書」の発行です。
自然災害により受けた家屋の被害の証明書で、自治体の支援を受けるためには欠かせない書類です。
ですが、これを発行する側の自治体も被災者ですし、初めての発行業務に就く方が多いのでスムーズ発行できない場合が多くあります。
当協会では、これからも発生する可能性のある大規模災害に向けて、被災者支援のため「自然災害調査士」を通し民間と行政の連携からなる罹災証明書の発行を目指し活動中です。
罹災証明書とは
罹災証明書とは、地震、台風、河川の氾濫などの自然災害により家屋が被害を受けた場合、その被害の規模に応じて自治体が被害を認定してくれる証明書のことです。
この証明書を元に公的支援を受けることが出来、その支援で家屋の修繕などを行うことが可能です。また、災害対策基本法ではこのように定められています。
市町村長は、当該市町村の地域に係る災害が発生した場合において、当該災害の被災 者から申請があつたときは、遅滞なく、住家の被害その他当該市町村長が定める種類の被 害の状況を調査し、罹災証明書(災害による被害の程度を証明する書面)を交付しなけれ ばならない。
引用:災害対策基本法第90条の2
災害による被害の基準
被害の程度は国で基準が定められており「全壊、大規模半壊、半壊、一部損壊」の4種類に区分されます。
◆全壊:損害割合50%以上
家屋全体が損壊、焼失、流出などした状態で、修理しても二度と住めない
◆大規模半壊:損害割合40%以上50%未満
家屋の一部が損壊、焼失、流出などした状態だが、修理をすれば住むことができる
◆半壊:損害割合20%以上40%未満
家屋の一部が損壊、焼失、流出などした状態だが、修理をすれば住むことができる
◆一部損壊:損害割合20%未満
家屋の一部が損害を受けたが、損害内容が軽微で「半壊」に至らない状態であり補修が必要
罹災証明書の発行について
証明書の発行にはまず、研修を受けた調査員(市町村の職員等)が家屋の傾斜、屋根、壁などの損害状況を調査します。その調査を元に、家屋の被害状況が区分され、罹災証明書が発行されます。
この罹災証明書を元に、支援策を受けることが出来ます。支援策は発生した自然災害や、被害状況、市町村によって異なりますので、被害を受けた際はお住いの自治体に確認してください。
当協会では熊本地震の際、罹災証明書の発行について解説する「被災者再建支援講座」を被害の大きかった益城町で行い支援を行って参りました。今後も被災した地域で支援を行って参ります。
罹災証明書についてご不明な点などございましたら、当協会へお問い合わせください。
また、大規模災害が増加する昨今、被災者支援のため「自然災害調査士」を通し民間と行政の連携からなる罹災証明書の発行を目指しております。活動に進展がございましたら、当協会ホームページで報告させていただきます。
自然災害調査士認定試験
自然災害調査士になるためには、認定試験の受験が必要となります。
当協会のホームページより自然災害調査士のお申し込みをしていただきますと、教材と認定試験のご案内がお手元に届きます。
届いた教材を学習していただき、教材の内容を身につけた上で認定試験を受験してください。
認定試験に合格後は、資格認定、当協会員登録手続きを経て自然災害調査士としての活動が可能となります。
また当協会の協会員専用のページにログインできるようになります。協会員専用ページでは、最新の情報や、その他、協会員に必要な情報をご確認いただけるようになっております。
どうやれば自然災害調査士になれるの?
自然災害調査士になるには、当協会公式サイトで受験を行っていただき、その回答を元に合否を判定し資格取得者を選考していおります。
試験お申し込みの前には、試験要項を必ずご確認ください。
勉強方法と受験方法
当協会の公式サイトより、自然災害調査士の試験を申し込むことができます。
申し込み後は、代金をお支払い(銀行振込 または クレジットカード)ください。お支払い確認後、当協会よりテキストを発送いたしますので、届きましたら学習を開始してください。
試験に向けて、
①公式テキストを最後まで読む
②当サイト「自然災害調査士」の記事読む
などで学習してください。
不明な点などがございましたら、当協会事務局までご質問ください。
受験資格や取得の費用は?
自然災害調査士になるために必要な費用はこちらです。
試験代 | テキスト代 | 協会員登録料 | 合 計 |
---|---|---|---|
7,700円 | 33,000円 | 1,100円 | 41,800円 |
※初回の認定試験に不合格の場合は、再度認定試験を受験いただくことが可能です。その際には初回同様の7,700円の費用をお支払いただくこととなります。
※3年に1度、資格更新講習を受けていただく必要があります。これは自然災害の専門家として、最新の知識を常に身につけている必要があるために存在する制度となります。
試験の難易度
公式テキストを最後まで読めば、どなたでも合格可能です。
また、教材の発送日より3ヶ月以内であれば、オンラインでいつでも受験可能ですので、ご自宅でテキストを見ながら受験していただいても問題ございません。各問題は4択形式ですので、入力間違いのないよう、落ち着いて回答してください。
出題形式 | 出題数 | 試験時間 |
---|---|---|
四択形式 | 50問 | 75分 |
選考 | 項目 | 配点 |
---|---|---|
四択形式 | 自然災害、異常気象に関する基礎知識 | 10点 |
建築に関する基礎知識 | 15点 | |
自然災害の見分け方、調査方法について | 25点 | |
合計 | 50点 |
※受験可能な3ヶ月の期間が経過してしまった場合は、再受験のお手続き、および再受験費用が必要となります。
※初回の認定試験に不合格の場合は、再認定試験を受験いただくことが可能です。その際には初回同様の7,700円の費用をお納めいただく形になります。
申込み方法
当協会公式サイトの専用フォームより、お申し込み可能です。
必要事項を入力し、お間違いないかご確認のうえ、送信してください。その後、入力いただいたメールアドレス宛に自動返信メールが届きますので、必ず内容をご確認ください。
もし、届いていないようでしたら、まずは迷惑メールフォルダにをご確認ください。
それでも届いていないようでしたら、メールアドレスの入力間違いか、エラーにより届いていない可能性があります。当協会までメール、またはフォームよりお問い合わせください。
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⇒屋根の最低限知っておくべき基礎知識と修理費用について
⇒近年被害が増加傾向!?自然災害から身を守る方法と災害への備え方
自然災害調査士についてご質問をいただきました
お電話やメール、またはお問い合わせフォームから自然災害調査士についてや、認定試験についてのご質問やお問い合わせをいつでも受け付けております。
以前、メールフォームからこのようなご質問をいただきました。
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知り合いから自然災害調査士について聞いたのですが、
具体的にどのような場面で調査士の資格を活かせるでしょうか?
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※ご本人の許可を得て一部を抜粋して掲載しております。
自然災害調査士には興味はあるものの、どうやって役に立てればいいか具体的に教えて欲しいとのことでした。
「自然災害調査士」は家屋が被害を受けた際、専門家として被害調査・アドバイスをすることが可能です。
民間で活躍する自然災害コンサルタントとしての活動が可能になります。また、すでに調査士を取得し活躍されている方の例をあげて、説明させていただきました。
自然災害調査士の活動例1
お一人は工務店の代表の方で、従業員に取得させたいとのことでお問い合わせがありました。
そちらの工務店では火災保険の申請をサポートしているので、「自然災害調査士」をその業務に活かしたいとのことでした。
火災保険は火災だけではなく風害・雪害・雷などの自然災害で受けた被害で申請可能です。
台風や大雪などで屋根・雨樋が壊れ、修理費の捻出で困っていたお客様の火災保険申請をサポートすることで、手出し無く修理できることができるので、今でも非常に喜ばれているそうです。
火災保険の申請は、契約者ご自身で行わなくてはなりません。
ですが、屋根に登って被害箇所を確認し、それを元に業者に見積依頼、そして保険会社に申請する。
被害箇所に確認に保険会社からアジャスター(鑑定人)が来るので、それも対応して…一人で行うには非常に手間がかかりますし、屋根に登るのも危険です。
専門知識をもって被害箇所の調査から火災保険の申請までサポートできる、それが「自然災害調査士」です。
自然災害調査士の活動例2
もう一人は一般の会社員で、昨年の熊本地震の際、ご親戚の自宅が被害にあったため、修繕するための支援策の紹介や、罹災証明書の申請の仕方などサポートしてあげたとのことです。
大規模災害の時にも被災地に行かなくても、情報を伝えることで被害に遭った方を支援できます。
ご質問頂いた方はその後すぐに、認定試験をお申込みいただき合格されました。
協会認定ライセンスカードを発行した後に教えて頂いたのですが、その方も工務店に勤務されている方で、今では火災保険の申請に「自然災害調査士」を役立てられているそうです。
新設して3年でまだ広く知れ渡っていませんが、これからも「自然災害調査士」を取得した方が活躍できる場を広げられるよう当協会としても努めていきます。
また、お問い合わせはメールフォームで随時受け付けておりますので、お気軽にご連絡ください。
試験のお申込み
資格要項と取得までの流れを確認頂き、こちらのボタン、または当協会ホームページよりお申込みください。
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