11月5日は、東日本大震災を教訓とした、「津波対策の推進に関する法律」により、「津波防災の日」として制定されています。
津波は、一度発生すると、その被害は甚大で、被災範囲も広いという特徴があります。
東日本大震災では、津波そのものや、津波からの避難方法を知らないために、多くの方が犠牲になりました。
この過去の教訓を活かし、今年の夏、「津波フラッグ」の全国統一の推進が始まります。
新型コロナウイルス感染症の影響で、防災の意識が少し低くなっている今、これからの季節、自然災害も増えていきます。
防災、減災の基本である、自助の一環として、「津波フラッグ」について知識を深めましょう。
津波警報がでたら
気象庁が津波警報を発表すると、テレビでは速報が流れることは、みなさんよくご存じのことでしょう。
その他聴覚に訴える伝達手段には、ラジオや、緊急速報メール、防災無線、サイレンなど、様々な方法が存在しています。
一方、海水浴場など、聴覚による伝達手段と比較して、視覚による伝達手段が少ないことから、津波警報などの視覚による伝達手段について、検討が行われているようです。
その背景として、平成23年の東日本大震災において、岩手県、宮城県、福島県における、聴覚障害者の死亡率が、聴覚障害のない者の,2倍に上ったというデータがあります。
聴覚障害者への情報伝達の問題点として、
「防災行政無線、サイレン、広報車の呼びかけが聞こえない」
「停電により、テレビの字幕、携帯メールが使えない」
といったことが挙げられたようです。
海水浴場などでは、津波警報が発表されたらすぐに、陸に避難する必要があります。
しかし現状は、携帯も所持していませんし、防災行政サイレンでは、聴覚障害者への情報伝達は難しくなります。
このようなことから、津波警報などを伝達する方法として、旗による視覚的な伝達が提案されました。
オレンジフラッグ
少し余談にはなりますが、後述する津波フラッグの前身として、「オレンジフラッグ」がありました。
こちらは、海辺にオレンジ色のフラッグが掲揚されたら、津波警報、注意報が発令されたという注意喚起で、
「津波が来たぞ早く上がれ」
「行政が指定した津波避難ビル」
を意味しています。
このオレンジフラッグは、一般社団法人防災ガールと日本財団などが実施した独自の取組みで、2016年ごろから「#beORANGEハッシュビーオレンジ」というプロジェクトを推進していました。
現在は、気象庁による、海岸を有する全国の自治体にアンケートを実施し、全国統一の手段を定めるということで、津波フラッグの検討が始められています。
津波フラッグの取組み
気象庁は令和2年夏から、海水浴場などで、「津波フラッグ」により、津波警報などが発表されたことをお知らせする取り組みを開始します。
この津波フラッグを用いることで、聴覚障碍者の方、波音や風で音が聞きにくい遊泳中の方にも、津波警報の発表をお知らせできるようになります。
津波フラッグは、長方形を四分割した、赤と白の格子模様のデザインです。
縦横の長さや比率に、決まりはありませんが、遠くからの視認性を考慮して、短辺100㎝以上が推奨されています。
津波フラッグは、船舶間の通信に用いられている、「貴船の進路に危険あり」を意味する、国際信号機「U旗」と同じデザインです。
U旗は、海外では、海からの緊急避難を知らせる旗として、多く用いられています。
これから夏にかけて、この津波フラッグを、よく見かけることになると思いますが、この意味をしっかりと覚えておきましょう。
まとめ
津波は、繰り返し襲ってくる怖い災害です。
この津波フラッグが作られた背景など、しっかりと確認することで、自分自身はもとより、この意味を知らない身近な人にも、教えてあげて防災意識を高めていきましょう。
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