12月から、2月中旬にかけて、会社員の方は年末調整が、事業主の方などは確定申告の時期になります。
その際に、必要経費として控除されるものがいくつかあります。
その中の一つに保険があります。
生命保険や医療保険などの保険料は、生命保険控除の対象となっていることは、多くの方がご存じかも知れません。
しかしながら、自動車保険や火災保険などの、損害保険についてはどうでしょうか?
今回は、火災保険における控除について、解説していきたいと思います
火災保険は年末調整で控除できるか?
まず、「所得控除」とは何かご存じでしょうか?
所得控除とは、所得税や住民税を計算する際に、基礎とされる所得から引かれる(控除される)ものです。
この控除が多いと、所得に対する税金の額が低くなります。
実は、火災保険の保険料は現在、所得控除の対象にはなりません。
2007年に実施された税制改正により、損害保険料控除が廃止されたためです。
しかし、損害保険料控除が廃止された代わりに、地震保険料控除が創設されました。
その際に、経過措置として次の条件を満たす火災保険については、「地震保険料控除」を適用して、引き続き所得控除の対象になりました。
・2006年12月31日までに保険の契約を締結して保険が始まっているもの
・満期返戻金などがあり、保険期間または共済期間が10年以上のもの
・2007年1月1日以降にその損害保険などの契約を変更していないもの
地震保険と控除
損害保険料控除が廃止されてから、火災保険料は控除の対象外となりました。
しかし、代わりに地震保険料が控除の対象となりました。
火災保険は、火災などに対応するとはいっても、地震を原因とする火災などは、補償範囲とはしていません。
そこをカバーするものが地震保険です。
地震保険は、地震や津波、噴火を原因とする火災などに対応する保険を言います。
地震保険は、それ単体で加入することができず、火災保険の特約として加入しなければいけません。
地震保険料の控除額については、1年間に支払った保険料の額に応じて、以下のように定められています。
年間の支払い保険料の合計が5万円以下の場合は、支払金額の全額を控除できます。
年間の支払い保険料の合計が5万円超の場合は、1律5万円を控除できます。
先程もお伝えしたように、地震保険は火災保険の特約として加入します。
保険会社から送られてくる、保険証券などには、火災保険と地震保険の保険料が、合算して記載されていることがありますので、あくまでも、地震保険部分の保険料を申告することがポイントです。
年末調整で地震保険の控除を受ける方法
最後に、地震保険の控除を受ける方法を確認していきましょう。
先程もお伝えしたように、地震保険は火災保険とセットで加入するため、保険料控除の対象となる、地震保険の払込保険料をしっかりと確認し、間違いのないように記載する必要があります。
まず、支払い保険料の証明書についてですが、契約後に送付される保険証券に添付されている場合がほとんどです。
保険証券が届いたら、控除証明書についても確認しましょう。
2年目以降については、毎年10月ごろ、保険料控除証明書はがきが保険会社から発送されます。
控除を受けるには、この証明書が必ず必要ですので、無くさないように保管しておきましょう。
火災保険や地震保険に加入する際、トータルの支払い保険料を節約するために、複数年分の保険料を一括して支払うケースがあります。
その際は、支払った年だけ控除されるのではなく、毎年控除の対象になります。
金額は、一括支払い保険料を保険期間で按分して、1年分の保険料を算出します。
この金額が、毎年の控除保険料となります。
金額が分かれば、会社員の方は給与所得者の保険料控除申告書へ記入をし、事業主の方であれば、確定申告書へ記入をして提出をするといいでしょう。
2020年10月からは、新しい方式により年末調整も可能となりました。
「電子的控除証明書」を保険会社から発行してもらうことで、電子データのまま勤務先に提出することが可能になりました。
これまでの紙媒体での証明書でなくなることで、控除証明書の紛失の心配もなく、年末調整申告書への記入や計算も省けるということで、より申告が簡単になります。
まとめ
火災保険は、所得控除の対象ではないということを、再度確認できましたでしょうか。
代わりに、地震保険が控除の対象となったことから、地震保険の加入もこれまで以上に増えることでしょう。
所得控除をするために、地震保険に加入することも大切です。
しかし、今後増えるかもしれない、地震に対するリスクを軽減するという視点からも地震保険の加入を検討する必要があるかもしれません。
火災保険には加入しているけれども、地震保険にはまだ加入していないという方には、ぜひこの機会にチェックしてみることをお勧めします。
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